ことばと成長
2019年07月05日 金曜日
以前、「トマトや野菜の成長に良いということでクラシック音楽などこころなごむ曲をかけています。」という農家の方の話を聞いたことがあります。植物でもここちよい音楽や環境が成長を助けるのだといいます。なるほどと感心しました。私が以前通っていた歯科医院でも軽音楽をかけ患者さんがこころ落ち着くようにされていました。音楽や環境は、人の心を癒しリラックスさせてくれます。赤ちゃんにとって最もリラックスできる環境とはどのような環境でしょうか。
人間が進歩したのは、言葉を手に入れてからであるとも言われます。言葉によって意思の伝達ができるようになり、考えることができるようになったことで人の脳が飛躍的に進化したというのです。
赤ちゃんの成長にとっても“やさしい言葉がけ”が大事であるとの認識は、多くの人が認めることだと思います。それは心の面だけの問題ではなく、脳の発達に言葉が大事だということが立証されているのです。そして『私たちが聞く言葉の数、その言葉がどう言われるかが、脳の発達の決定的な要因です。』(ダナ・サスキンド)。乳児の時にどのような言葉がけの環境の中で育ったのかが大きく影響すると言われています。
昨日、一歳児の部屋に行くとフェンスにつかまってじっとしているMちゃんがいました。そっと近寄っていき、しゃがんで目線を合わせて話しかけました。「たつのがじょうずだね。」「いっしょうけんめいに、つかまっているね。」と喜んでくれるであろう言葉をかけたつもりでした・・・が、Mちゃんはじっと黙っており、表情はちょっと硬いままでした。次の瞬間、MちゃんはO先生に向かって行ってしまいました。Mちゃんとのコミュニケーションは失敗しました。Mちゃんは黙っていたから理解していると思っていたのですが、実は我慢していたのでした。O先生のそばでホッとしたような顔でくつろいでいました。Mちゃんは毎日の生活の中で優しくしてくれる人、安心できる人、守ってくれる人を見分けていました。
“優しくしてくれる人” “安心できる人” “守ってくれる人”とはどんな人でしょうか。どんな言葉をかける人なのでしょうか。
園長 田中基之
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