真の眼
2019年06月24日 月曜日
赤ちゃんは生まれてからしばらくの間は、お母さんや周りの環境と一体の中にいます。それは、お母さんのおなかの中で10か月の間過ごしてきて、徐々に一人立ちしていくための期間なのだと思います。おなかの中は他と自分を区別する必要もなく過ごすことができます。母親からすべてのものが与えられていました。栄養と愛情、総てです。生まれてすぐは自分と他者の区別がついていませんが、1歳半を過ぎたころから他者認識が進んでくるといわれています。眼で見て、耳で音を聞き分け、鼻でにおいを嗅いで、舌で味わって、身で感じていきます。自分を取り巻く環境を把握するためのはたらきです。今まで自分とか他者とか環境を理解する必要がなかったところから、自分で五感を使って理解することに努めていきます。赤ちゃんにとってとても大きな変化です。
そして自分以外の環境を感じる五感とともに成長するのが意のはたらきです。心のはたらきです。五感で感じたことを意を使って判断していきます。五感と六感によって一人一人の個性が明らかになってきます。
赤ちゃんの時は、客観的に理解していたものが次第に主観的な理解に進んでいきます。この主観的に理解したものをもう一度客観的理解の眼を持てるかが、人としての本当の成長なのだと思っています。
大人であってもたまに聞こえてくるのが「私は、正しいと思ったからやりました。」「私は、その人にとって必要なことだから言いました。」という言葉です。それは、第二次客観性を持たない言葉なので他者との調和を欠くことがあります。
育子園では幼児クラスになると取り合いや、ケンカが起きたときは保育士の促しによって当事者同士で話し合いをしています。私もこの光景に出合った時はとても感心しました。この幼児の時から当事者同士で話し合い、相手の存在を認め、理解をすることの実践がされていることは、「真の関係」をみることのできる人づくりだと思っています。
園長 田中基之
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