変化を見ている眼
2019年06月20日 木曜日
11時過ぎ、子どもたちの元気な声が園庭から聞こえてきました。目をやると築山で男の子が遊んでいました。土でできている築山は高さが1.5mほどあります。都内の保育園で土でできている築山のある園庭は少ないのではないでしょうか。子どもたちは、築山のそばにある水道からバケツに水を入れ頂上まで運んで行き、バケツの水を流していました。“ざぁー”と流れていく下の方には水たまりができていました。
てっぺんから流れ落ちていく水は、流すたびに流れ方が違っていました。その流れ方を観察するように見ていました。土の山は水を流すたびにちょっとづつ形が変わっていくのでした。同じところから流していても下につくまでに途中で水が土にしみこんだり、土の強度が弱くなったところは削れていました。そのちょっとづつ変わる流れ方を一生懸命に見ていました。水が土にしみこんだり、下まで達して水たまりになり、その動きが終わるの見届けると、また、水を汲みに行くのでした。今度はバケツを肩の高さまで持ち上げて、バサッと水を落とすように流していました。勢いよく落ちてきた水にはじかれ、土と水が飛び散っていきました。さっきとは違う水の流し方でした。
傍から見ていると同じことを何回も繰り返しているだけに見える行為ですが、子どもにとってはそのたびごとに違っている景色を見ていました。微小の変化を楽しむ目を持っていたのです。
その子は、まだ3歳児でした。
園長 田中基之
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