母をたずねて
2019年05月13日 月曜日
子育てや、教える立場にいる時「さっき言ったよね」や「この前教えたよね」と言ってきたました。
長男が3歳の時、雨が降って水たまりができると長靴であろうが運動靴であろうが、あっ!・・」といってすぐに水たまりにバシャッバシャッと勢いよく入って遊んでいました。靴の中に泥水が入っても気にせず、かえってそれが楽しいのではないかと思うくらいでした。今思えば、足の力の入れ具合によって変化する“水の跳ねる音”“飛び散る水の形やその動き”が面白かったのでしょう。子どもの目線で見たときに「そうなんだ、なるほどそうか」と思えました。親である限り、子どものことは気にかかるし心配になります。
昨日、90歳になる母親をたずねて実家に行ってきました。母は今年になってから腰の具合が悪く、病院に通っています。病院から処方された薬があっても体調によって飲んだり飲まなかったり、また忘れてしまったりで薬を飲んでいないことが多くなかなか腰もよくなりません。娘が心配して、せめてきちんと薬が飲めるようにと曜日ごとに仕分けられている薬ケースで整えてあげることにしました。妻と3人で母の所に行きました。母はそのケースを見て「曜日ごとだと、今日は何曜日だかわかんないことがあるんだよね。」の一言で、日にちも入れることになりました。娘が薬ケースを整え終えた後でもう一度使い方を説明していました。かつては、人の相談を受けたりてきぱきとしていた母も記憶するということが少し難しくなってきました。腰も曲がり歩くのもだいぶゆっくりしてきました。
帰るときに「玄関は段があるし転んだら行けないからここであいさつさせてもらうよ」と言って、玄関を出ようとすると腰の曲がった母が「ここで送るのは、さびしいから」と杖を突きながら門のところまで出てきて手を振って送ってくれました。
親は何歳になっても、子どもが何歳であろうと案じてくれるのだとしみじみ感じながら実家を後にしました。母を通して親としての心のありようも受け止めさせてもらいました。
園長 田中基之
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