子どもの“あそび”は真剣そのもの
2018年10月11日 木曜日
台風の大風の後、園庭には木の葉がたくさん広がっており、秋の趣を感じさせてくれています。きょうは温かな陽射しが気持よく、トランポリンの場も大人気です。子どもたちの輪に入り一緒にジャンピングも楽しむことができました。
体を休めるため、こどもたちと少し離れ園庭の全体を見渡していたとき、AくんとBくんがそばに来て、「せんせい、いっしょにあそぼうよ! あそぼうよ!」と言ってきました。先日、クラスに寄った時に声をかけていたので、覚えてくれていたのだと思います。「ようし!なにして遊ぼうか!」と聞くと、二人そろって「鬼ごっこがいい!」。「じゃ、先生が鬼をやるからAくん、Bくんは逃げるんだよ」と始めたら、逃げたのはAくんだけでした。「アレ?」と思っている間もなく、Bくんが私の手をつかんでAくんを追いかけ始めたのでした。
つい、私が鬼ごっこを仕切ろうとしたのですが年少の二人には「鬼ごっこ」の役割が決まっていました。遊びの中にルールを設けることができているのが分かりました。二人の鬼ごっこは「手つなぎ鬼」だったのでした。
逃げるAくんをBくんと手をつないで追いかけ、一緒に築山のところで捕まえることができました。AくんもBくんも息を弾ませていました。今度は、AくんとBくんの立場を反対にしました。ただし、私は鬼のままというルールでした。「Bくん、三つ数えたら追いかけるよ!」と今度はAくんと手をつないでBくんを追いかけました。
なんとBくんの逃げ足の速いこと、園庭の端から端を勢よいよく駆けていきました。後ろを追って追いかけていたのでは追いつきそうにもありません。そこでAくんと手を離し二手に分かれて追いかけていきました。AくんはBくんの後を追いかけ、私は斜めに園庭を横切り早回りをしてBくんを捕まえました。「捕まえた!Bくん!!」と両手で抱えると、Bくんの顔がだんだん力がなくなってきました。とうとう目から涙がこぼれてきました。
Bくんが涙ぐんでいるのは、どんな気持ちでいるのだろうかと「B君は一生懸命に頑張って走っていたよね、だから、つかまったのは驚いちゃったよね。」「Bくんは本当に捕まらないように頑張って走っていたんだよね!」と確かめるように聞くと、少し表情が戻ってきました。Bくんに目を合わせ「Bくん、また鬼ごっこしようね!」というと、「うん!」ともとの明るいBくんの返事が返ってきました。
Bくんは真剣だったのでした。こんなに離れているから捕まりっこないと思っていたのです。しかし、突然に鬼が目の前に現れて捕まってしまったものだから、ショックだったのです。
私からすると「鬼ごっこは、走るのは体にいいから行う」と思っていました。しかしAくん、Bくんにとって鬼ごっこは相手を捕まえることであり、そして捕まらないことが最も大事なことなのでした。子どもの遊びは、大人の言う気分転換や、リフレッシュのためにする“遊び”ではなく、「あそび」そのものに価値があり、真剣に取り組んでいるということを“AくんとBくんの鬼ごっこ”から教えてもらいました。
副園長 田中
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