初心忘るべからず
2018年04月04日 水曜日
4月、新年度が始まりました。桜の木々も若葉が目立ちはじめました。通勤では新入社員姿の若者たちの初々しい姿が見受けられます。これから会社や勤務先で仕事を覚え、力を発揮されるであろうと思われます。彼らの姿を見て、昨日の朝礼で教えていただいた「初心忘るべからず」との言葉が思い起こされました。
しかれば、当流に、万能一徳の一句あり
初心忘るべからず
この句、三箇条の口伝あり
是非の初心忘るべからず
時々の初心忘るべからず
老後の初心忘るべからず (世阿弥 花鏡)
この初心は、初めて仕事についた頃の初心ばかりではなく、‘時々の初心’、‘老後の初心’と人生の中にはいくつもの初心があるというのです。この初心とはどういうことなのでしょうか。
一つめの初心は、つい思い上がってしまう初心者の頃の未熟さです。時々の初心は、未熟な自分を知り、社会人として働き生きていく中で様々な困難と出会い、経験し乗り越えていきます。その時「どうやって乗り越えていったのかという経験」です。それを忘れてはならないと教えてくれています。さらに老後にも初心があり忘れてはいけないということです。
その時その時に学ばなければならないことや身に付けることがあります。至らない自分を内省してさらに精進していくことの大切さを教えてくれています。
私は、失敗や困難なことにであった時は「何で失敗したんだろう」「何で困難な目にあわなければいけないのだろう」と消極的に受け止め、落ち込んでいることがよくあります。
世阿弥は、失敗・困難な状況や落ち込んでいる自分に焦点があるのではなく、それを乗り越えていく自分自身に視点があります。さらに一歩進めて理解すると「困難なことに打ち勝てる力が私たちにある!」と教えていただいていると思います。
4月の年度初めの月に世阿弥から生きる力をいただけて有り難く思います。
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