おさかな君が
2018年01月16日 火曜日
「ふくえんちょうせんせい~、ふくえんちょうせんせい~」とかわいい声がロビーから聞こえてきました。声の方を見るとそこにY君の姿がありました。「Y君、どうしたの? なにかあるの?」。すでにY君の眼は、すぐそばにある水槽に行っていました。水槽に向かって「この中に動かないでいるお魚が一匹いるんだ。どうしたのかなぁ?」と尋ねてきました。
園舎に入ると、ロビーにおさかなの水槽が今は三つ置いてあります。第一水槽にはネオンテトラ、ラスボラエスペイ、アカヒレ、ミッキーマウスプティ、アベニーパファ、ヤマトヌマエビ、第二水槽にはカクレクマノミ、ヒフキアイゴ、コバルトスズメ、デバスズメ、ハリヤッコ、スカンクシュリンプがきれいな姿を見せてくれています。三つ目は卵からかえったサケの稚魚が泳いでいます。この稚魚はやがて都内の川に放流されます。
その中の一匹のデバスズメが水槽の下で動かないでいました。「どうしたのかなぁ? 先生、おさかなが動かないよ。」と心配そうな声でY君が再び尋ねてきました。ふだん見慣れている水槽の中のおさかなたちは元気に泳いでいる姿です。動かない魚が、水槽の中にいるということに違和感を感じていました。「そうだね、おさかなさんは今まで元気な姿を僕たちに見せてくれてたんだね。今は、きっと天国の海で泳いでいるよ。」「このおさかな君は、先生がやさしく自然にかえしてあげるから。大丈夫だよ。」のことばに、水槽の下をじっと見ていたY君の顔がほっとしたように見えました。Y君のい優しいこころが育っていることにふれることができました。
保育園では0歳から6歳の人間形成にとって重要な時期です。その多くの時間を過ごす場となっています。この時期に「非認知能力」や「社会情動的スキル」の基礎が培われる時期といわれています。その能力やスキルを身に付けるための目標の一つに「生命、自然および社会の事象についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うこと」があります。
Y君が「動かない魚」に関心を持ち、生命の変化を感じ、さらに近くにいる“先生にたずねる”という積極的行為までに至ることができたのも、日ごろからの保育者による関わりの現われと思います。
副園長 田中
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