体験から学んでいく力
2016年02月10日 水曜日
2歳児クラスで起きた、3人の子どもたちの出来事です。
A君が牛乳パックで作ったり立方体の形をしたイスを5つ、積み上げる遊びをしています。それに気づいたB君はそばに行くと、積み上げる途中過程のイスを足で蹴飛ばし崩してしまいました。A君は上手な言葉の表現はできないので、声を上げて何かを訴えます。そして、また1から積み上げ始めました。しかし、B君は面白がって、また、蹴飛ばし崩してしまいます。
もう少しで5つが積みあがる・・・、という度にB君が崩しては、A君が怒り、やり直すという光景が続きました。
しかし、その後、B君は他の事に気をとられ、崩すことをしなかったため、A君は見事、5つのイスを積み上げたのです。そして、その時、A君が取った行動は、わざわざ、その場から離れていたB君を呼びに行き、椅子のそばまで連れ戻すと、A君自身が積み上げられたイスを崩して見せたのです。ふたりは顔を見合わせて笑っていました。その後は、ふたりで協力して積み上げる遊びに展開していきました。
その時、絵本を読んでいたC君は、そばに転がっていたひとつのイスに、「丁度良かった」とばかりに腰をかけました。そして、横で二人が楽しそうにイスを積み上げているのに気づきました。C君は、自分も椅子を積み上げたいと思ったようで、転がっているほかのイスを取りに行きこうと、イスから立ちあがり移動しました。もうひとつイスを手に入れ、積み上げようと先程座っていた場所に戻ってくると、今度は、座っていたはずの場所にそのイスがありません。キョロキョロとあたりを見回すC君・・・。
実は、C君が立った直後、他の子がイスを持って行ってしまったのです。積み上げようとしていたC君の持っているイスの行き場がなくなりました。そこでC君は、イスを持ったままA君とB君の所へ行き、一緒に遊びに加わりました。
人と人との関わりの中で集団生活を円滑にする営みを、子ども社会の中で、たくさんの知恵を働かせながら展開している姿を見て、子どもたちが体験から学んでいく力を感じました。
乳幼児の子どもたちをよく観察していると、あちらこちらで、言葉ではないコミュニケーションも見られます。それは、すぐに大人が介入してしまうと見られない貴重な場面です。子ども同士の育ち合いを大切にするには、子どもの学び伸びていく無限の力を信じ、援助すべきところとそうでないところの見極めを大切にしていかなければならないと思います。
保育主任
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