子ども・保育者相互主体の保育を学ぶ旅③
2014年02月13日 木曜日
多くの園では子どもの主体性を一見尊重しているように見えるものの、保育者が意図する到達点が決まっている保育、「あやつり保育」が行われています。保育者が保育内容を設定した型にはめた中で保育を展開してくことが正解なのでしょうか。園は何のために存在しているのかを見つめなおすと、保育の本道が見えてくるのです。保育者が計画した保育ではなく、子どもが興味を持っていることを保育者が見つけ、子どもと共に興味を探究し、探索活動を深めていく保育、保護者に見せるための行事は止めて、日常の探索活動を大切に、継続していくことこそが保育と言えます。
各園でも物質的なモノは充実し、大人が保育環境を作っていくパターンが多くみられますが、子どもに共感し共に作っていくことに大きな意味があるということを大切にしてきました。大人の願いと子どもの願いは必ずしも一致しません。子どもの願いと保育者の願いが高まり・深まっていくと、共感が生まれ、お互いのワクワク感が大きくなっていくのです。子どもの主体性、保育者の主体性、その両方が相乗効果となって楽しい保育が展開されてきます。どちらかの主体性だけを強調するのではない、『子ども・保育者の相互主体型保育(造語です)』とでもいう保育が目指すべきパーフェクトな質の高い保育です。
プロジェクト型保育の出発は子どもから始まることも保育者の関わりで始まることもあるでしょう。生活や遊び、地域社会、メディアの中で生まれた興味や関心ごとを共有し、探索、探究するのです。子どもと保育者が一緒に活動し、調べたり、試行錯誤したり、専門性のある人に教えてもらったり、知らないことを知る楽しさを共有していくスタイルです。プロジェクトの発展を連想ゲームのようにフローチャート風つぶやき、暗黙知をどんどん書いていくのです。その過程を壁面に張り出して、どうしてそのプロジェクトが発生し継続しているかを保護者に解りやすく解説している素晴らしいドキュメンテーションです。
プロジェクト型保育の道のりはどこへたどり着くかわかりません。自ら考え、探究し、失敗しつつも、他者と共にあきらめずに続けていく中で一人では解決できなかった課題が他者のヒントで解決できることを体験したり、我慢や葛藤も経験できるのです。新たな物事を創造する楽しさ、一日や一週間ではゴールにたどり着けないこと、日々探究することを体験することは人生で必要不可欠な、生きる力を学べることがプロジェクト型保育の最大の目的です。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ