子ども・保育者相互主体の保育を学ぶ旅①
2014年02月10日 月曜日
どうしても訪問してみたかった鳥取県米子市の仁慈保幼園にやってきました。このブログでも何回か紹介した、プロジェクト型保育の実践が素晴らしい保育園です。白梅大学の汐見学長先生がこの園の実践を紹介したセミナーに参加し、是非とも実際に見てみたいという思いに駆られました。
さっそく園長先生に連絡したところ、ご快諾いただきましたので、節分の日に米子へ赴きました。
羽田からのフライトで米子鬼太郎空港に着くと、日本海からの風に乗って雪がちらついていました。今から20年前に6年間、新潟に住んでいたころの風雪が思い出される風景です。特に日本海側では11月頃になると雪おろし(雪颪)と呼ばれる雷が鳴り冬の到来を告げます。東京などでは雷は夏のモノですが所変われば雷が発生する時期も様々です。
さて、訪問した仁慈幼保園でも十数年前までは、いわゆる日本式の大人主導の年齢別一斉保育を行っていましたが、現在の園長先生が就任し、日本式に違和感を感じられ保育を根本から見直されたそうです。園舎は一斉保育を行っていた時代の建て方ですから、レイアウト変更工事を順次行っているそうです。園長先生は園説明の冒頭で、昭和8年、思考の生理学(外山慈比古)は、「日本の教育は、自分で問題提起し、自分で解決していくためにエンジンがなく、自分で飛び上がることができないグライダーばかり育てている」と危惧していました。これを引用された理由は後になってよく解ってきました。
国内外の保育の理念と実践を研究されて、保育者の指示で子どもを動かしている園から、子どもが主体的に活動できる保育と同時に保育者が子どもを本当に観察して適切な関わりを持つ保育へ大転換です。日本式の典型実践例として、子どもがトイレに行く時間は保育者都合で決めて、行きたくない子どもにも行かせるのです。それ以外の時間に行きたくなったら、なんでさっき行かなかったのと子どもを叱るということが行われていました。
大人もそんなことをされたらどんな気持ちになるでしょうか、生理現象を他人がコントロールしようとしてもできるはずがないのに、子どもだからとか、保育の活動を計画通りにこなすことが最も重要視されるのです。そのために保育者の設定保育活動開始前に全員画一的にトイレを済ませ、活動の途中でトイレに行かれると予定通りに事が進まないのを嫌がるのです。現に今でも日本国内ではこのような理解しがたい保育を行っている園が存在しているのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ