保育記録は一石三鳥
2014年02月06日 木曜日
レッジョ・エミリアはイタリア北部の小都市で、1980年代に「子どもたちの100の言葉展」で世界的に有名になりました。アートを中心にした保育、光と影、造形、空間への配慮が優れています。
中でも子どもの活動対する記録を大切にしている点です。多種多様な素材を園外からも集めて、子どもが自発的に興味をしめしていくアトリエです。「子どもは市民である、子どもが尊厳を持って活躍できる」地域の中で子どもが活躍できる場所がレッジョ・エミリアです。
自信を持っている子どもは偉大です、あなたのもつ子どものイメージから教育(保育)は始まる、何百の子どものイメージがある。あなた方それぞれが心の中に子どものイメージを持っている。そしてそれがあなたを動かし、あなたと子どもを関連付ける始まりとなるのです。1994年に亡くなったローリス・マラグッチ氏の熱意により今のレッジョがあるのです。障害を持った子ども、ゆっくりと成長していく子ども、家庭に課題のある子ども、など全ての子どもが尊厳を持って生きていく権利を持っているのです。
レッジョ・エミリアの哲学と教育は、参加としての教育は対話としての教育です。子どもの声を聴くために、文字、デジカメ、ビデオなどを駆使して集中して取り組んでいる記録を残すこと、それがレッジョのドキュメンテーションです。
有名なルチアの保育場面、子どもは科学者、リサーチャーです。子どもは何を求めているのか、保育者が教えるのではないのです。記録の過程は、声を聴く、見える化:聞いたことを確かなものにすること。
記録をすることは一石三鳥、保育者(自分と同僚)と子どもと保護者の間におけるコミュニケーションを高めるためにとても有効です。
ある園では嫌いな野菜を食べられない子どものために、保育者が海苔を巻いてあげたら食べた、それをデジカメで撮っておきました。その日はその子どもの保護者が園に対する苦情を言いに来る日でした。ところが話し合いの冒頭に、写真を見せると保護者は苦情を言わずに帰っていきました。この事例のように、視覚的に説明できるモノを用意しておくことで意思疎通が良好になるのなら大いに活用すべきです。
昨年秋にレッジョ・エミリアへ保育視察に参加した職員を中心に、育子園内も音と光、風を体感できるダークルームや日々の保育を写真と文章で伝えるドキュメンテーション、日々更新しているクラス・グループ毎のホームページブログに加え、動画で園紹介や動画保育記録、職員採用プロモなど、「さきがけ」の取り組みを行っていきます。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ