離婚が子どもに与える影響①
2014年02月03日 月曜日
生活の中のカウンセリング・親の離婚と子ども、家族の移行期としての離婚について考えるという白梅大学のセミナーに参加しました。日本は世界的にも離婚しやすい国、年間離婚件数は昨年≒23万件、夫婦3組に1組が離婚を経験する時代です。夫婦の離婚によってその辛い体験をする子ども数も≒24万人を超えているのです。殆どの先進国が共同親権・共同監護ですが、日本は単独親権になるが特質です。子どもは親権者が母親というケースが80%、父親12%、残りの8%は祖父母や施設で生活を再開するのです。
離婚後の親権者を有しない親との面会交流を取り決めているのは≒20%に留まっています。離婚届にも面会交流を記することになっていますが、罰則規定が無いので努力目標程度という認識です。離婚は家族のテーマですから、家族のライフサイクルは家族を離れる(自己の情緒的、経済的、責任の受容)⇒結婚・結合による家族形成(新しいシステムへの関与)⇒幼い子どものいる家族(新しいメンバーへの関与)⇒青年のいる家族(子どもの自立と祖父母の諸さを許容する家族、境界の柔軟性の拡張)⇒子どもの出立と中年期への移行(システムへの多数の出入りの受容)があります。
各ライフサイクルへの移行時期は、家族全体にストレスが生じます。現代の多様な生き方を反映する中での離婚という決断は、その時だけの事象ではなく長い間に関わる重要課題です。離婚の受容(離婚を決心する段階、別れる計画を立てる段階)⇒離婚渦中(別居の段階、離婚の段階)、離婚後(離婚どの段階)にわかれますが、これは親の立場での分類で子どもにとっては全く違う感情があるのです。このように離婚はカップルの問題としてとらえられがちですが、親子という血の繋がりのある両親と一緒に生活できなくなる重圧はいかほどのものでしょう。
親は自分の離婚の対応で精一杯ですから、子どもへのケアが後回しなるのが現状で、子どもへの福祉としての公的介入が事実上難しい事案が数多くあるのです。親の離婚後、長期にわたって影響を受けやすい悪条件として、①親の説明なしの突然の別居・離婚 ②愛着対象であった看護親による、あからさまな拒絶と接触の無さ ③看護親の混乱と不適応状態と親機能の長期化による親機能低下 ④学校、家族などからのサポート体制の欠落、これらの条件が重なり合うと子どもの心身発達に大きな障害が発生するようです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ