目が合うと威嚇したがる人
2014年01月17日 金曜日
虐待を受けた子どもの課題的行動として、万引き、暴力、家出、夜会徘徊、リスクのある性行動が起こりやすいのは、家庭が安全な場所ではないので家庭からの脱出、寂しさが満たされないことによる性行動があります。その反面行動として、引きこもり、抑うつ、無気力、不眠による昼夜逆転、外出不安、不登校、親への同一化による被支配的関係性が顕著で、親子関係がヤル・ヤラレル関係が常態化しているので園や学校でも同じ関係性しか持てずトラブルが発生しやすいのです。
感情への影響として、自責感、恐怖、不安、緊張、孤独感、怒り、感情麻痺など不十分で一貫しない情緒的反応による感情発達の障害があります。ネガティブな認知として、自己否定、自分が生まれなければよかった、自分のせいで母親が父親から暴力を受けていると思う、自分は何もできない、何をやっても無駄、どうせ自分なんて、新しいことをやる自信が持てない、仕方がない、自分は大切にされていない、人なんて信用できない、世の中は何が起こるかわからない、人の事を頼ってはいけない、うかつに喜んではいけないと考えやすいのです。
他者が自分のことを見ているだけなのに、目があっただけで暴力を振おうとする人の中には、家庭内で親が睨んだ後に暴力を受けた経験があるので、目が合うと自己防衛反応として先に相手を威嚇し暴力を振って解決しようとするということが多いのです。親からの暴力を受ける時に、お前が悪いんだと言われ続けていると、暴力を振われる人は悪い人だから暴力を振われると勘違いするようになりますから、自分で暴力をふるっておきながら暴力を振われる人が悪いという思考になっていくのです。
一般的には子どもは褒めて、良いところを伸ばして関わることがその子どもがさらに自発的に発達していくのですが、虐待を受けた子どもは同じ関わりをしても、効果が無いようです。これは、褒められてもそのことを素直に受け取れずに、大人のことは信用できないというネガティブスパイラルに陥るのです。
自分を取り巻く全てに対して安定、安心、安全だという気持ちがなくなり、常に不安定な人間として存在することになります。
このように虐待を受けた子どもは民主社会で生きていくのが困難な状況に陥り、対人関係の基本は上・下、強者・弱者、支配・非支配関係という平等観の欠如した状態になると分析されているという怖さです。幼いころの虐待が、その子どもの一生を左右することなど考えずにその場の感情で犯してしまう罪は深いのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ