大人主導の一斉保育から長期間プロジェクト型保育へ
2013年12月19日 木曜日
魅力的な長期間プロジェクト型保育を行っている「仁慈保幼園」でも10年前までは保育者が1日の計画を決める大人主導の年齢別一斉保育でした。それを改め、子どもの関心や好奇心を観つけ、共に考え、話し合い様々な活動に発展させる「プロジェクト型保育」へ変えていったのだそうです。
ある時は、花の匂いへの関心が、花を水に漬ける「香水作り」へと発展することもあります。「腐らない香水はどう作るのか」と疑問が浮上すると、近くの化粧品店に行ってアルコールを使う方法を学んだりと地域の知恵を子ども自ら活用する社会的学習です。レッジョエミリアでも街全体で子どもの好奇心を探求できるように、協力体制を整えています。
毎日の園での生活や活動の様子を「ドキュメント」で写真入りの保育記録にして、夕方までに保育室の廊下に貼り出しています。多くの保育所の保育日誌は、監査用の内部の記録になりがちです。行政が決めたから書かなければならない書類から、保護者や入園を考えている人、保育関係者。保育者を目指している人たちに自園の保育実践を発信することが意味のある記録物です。育子園園舎内にもたくさんのドキュメンテーションがあります。
このプレゼンを観て、直感的に欧州の雰囲気を感じましたので、さっそく仁慈保幼園の理事長さんに連絡してみました。北欧スウェーデンに姉妹園があるそうで、まさしく世界標準の保育を行っている園に出会えたことは嬉しい限りです。是非とも米子へとお誘いを受けましたので、きっと機会に恵まれることでしょう。
同法人は今年、東京都内で公設民営で開園されたそうですから、数年後には都内でも長期間プロジェクト型が始まることを楽しみにしています。長期間プロジェクト型は子ども主体・子ども中心の保育を実践していくといずれたどりつく領域、高峰だと考えています、そこまでいかないと本当の子ども主体の保育と言えませんから、育子園も“高み”を目指したいものです。子どもの無限の発想とそれを邪魔しない保育者の専門性がマッチングしていくと、毎日の保育がどんなふうに展開されるかは誰にも解らない、答えのない保育です。さらには保育園という枠を飛び出して、興味を探求するために地域社会で探索活動をするなど、ワクワク感のあるダイナミックな子どもたちの活動が展開されていくのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ