世界が驚く0歳児の集団保育
2013年10月24日 木曜日
これからの国力は資源が豊富だとか経済活動が活発だとかという視点ではなく、持続可能な社会をつくり平和な社会を構築していける人材がいるかが問われるでしょう。
1980年代の日本の高卒率は≒90%、ドイツでは≒50%でしたが、それを大転換するための施策として大学まで授業料無償化を進めてきました。日本はいまだに世界で最も教育費負担が高い国、若年層が海外へ出ていこうという意欲も低下しているのです。
なぜ先進各国が保育・幼児教育に力を注ぐようになったかというと、子どもに対する学習支援では効果が期待できないという結果が出ているからです。これはアメリカで低所得家庭の3歳の子どもたちに質の高い保育を提供したところ、30歳になった時にその子どもたちの方が給与が高く、高学歴者も多く、犯罪者は少なかったという追跡調査が物語っているのです。
犯罪者が多発し、それに対する刑務所経費等に国家予算を投入するよりも、幼児保育・教育を充実する方が効果的だということなのです。スウェーデンでも保育園に通っていた子どもの方が学力が高く、アメリカでは質の高い園では保育料15万円もかかる園ものですが、0歳から質の高い保育園に通っていた子どもが最も学力が高かったと報告されています。これは核家族で親と子どもが向き合っている閉ざされた生活環境は子どもにとって、あまりよくない影響を及ぼしているという結果です。
それを証明するように、世界乳幼児精神保健学会では3歳までは家庭で育つことが最善だということはいえないと報告しています。全ての子どもは質の高い条件の整った保育園で4ヶ月のコリックが終わってから育ててもらった方が良く育つ、昔のように地域で子どもが育てるような時代ではなくなったということ、親子だけで限られた空間にいつも一緒に居ると子どもの発達を促せないと判断しているのです。
OECD保育白書、スターティングストロングⅠ・Ⅱ・Ⅲでは、良い人材を育成するためには、0歳からが重要だと分析しています。日本は保育園等の子ども1人あたりの面積を狭くしようとする動きがありますが、スウェーデンのヨーテボリで開催されたオメック学会で、日本の狭い空間で0歳児集団保育が紹介されると、欧州の保育者はこれはありえないと驚いたそうです。
欧州では3歳以上の保育・幼稚園教育を無償化していますからが、現政権下で浮上した案はあれからどうなっているのでしょうか。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ