グランドは小学校になってから
2013年10月21日 月曜日
左写真のように2007年までの育子園の園庭は典型的な軍隊方式のなごりが色濃く残るグランドで、一年中トラックに白線が引いてありました。現在の地に園舎が新築された後に南側隣接地を買い増し、そこに植えてあったケヤキの木が園庭中央部に1本だけ、当時の写真を見ると殺風景極まりない日本式です。ケヤキ後方に見えるスチール製コンビネーションと呼ばれる遊具は15年前に国が全国の保育園の遊具を充実する狙いで各園1千万円もの補助制度を単年度だけ打ち出した時に購入したモノで、スチールを極彩色に彩色したスタイルは当時人気でした。
他には何もない園庭で過ごす夏季は木陰も少なく、風が吹くと砂塵が舞い上がり始末に負えない状態でした。ケヤキの落ち葉は毎朝すべて掃き取り、小さな石ころがあると保育士が事務室に届けることになっていたのです。2007年ごろから、園庭緑化された国内外の園などを見学したのをきっかけに、職員会議で話し合いながら植栽し続けて、以前とは全く異なる園庭環境に変化していったのです。園庭の真ん中に菩提樹やケヤキを植えた当初は、子どもが木にぶつかって怪我するのではないかと心配する保護者もいるほどで、軍隊式に慣れきった、刷り込みを払しょくするのには勇気と説明努力の継続が不可欠です。
秋から冬にかけて入園希望見学者が連日のように来園します。パワーポイントで上の写真を写しだしても、育子園の園庭だと解る方はいません。園庭改造の理由と経緯を説明すると、まさか数年で今の園庭に激変したことに一様に驚き、今の園庭になってから見学に来られて良かったとおっしゃいます。
子どもは自ら周りの環境にはたらきかけて発達していくという本能があるのですから、保育園の園庭に何もないのは理にかなっていません。野球やサッカーのルールが解り試合ができるような形状を求める必要はなく、やがて小学校に入学し、スポーツとしての競技を楽しめるようになればグランドが必要になるので、平坦で広い空間が用意されているのです。ところが小学校の校庭にも育子園の園庭に設置されているロッククライミングや吊り橋などを新たに設置して、全身運動機能を向上させようとしている取り組みが拡がっているのも見逃せません。
スチール製コンビネーションは今でも躯体は頑強ですから、2012年にウッドパネルを貼り付けて全面リニューアルしました。冬季に静電気が発生するなど不評だったチューブ滑り台は築山に埋めて再利用しています。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ