佼成育子園[こうせいいくじえん]-東京都杉並区

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園のこだわり

引きこもりは日本特有の現象

2013年10月31日 木曜日

異年齢が屋外で思いっきり遊び込むことが出来なくなった地域では人工的に再生をすることが必要ですから、保育園は不可欠な資源になる可能性は大ですが、そのポイントは大人主導の保育をしないという点です。

 

日本ではあらゆる種類の自動販売機が24時間客を待ち、スーパー・コンビニでも一言も会話をせずに買い物ができるという仕組みです。欧州の各地を旅しても日本のような販売システムはありません。昭和の時代までは、いわゆる八百屋や肉屋などの個人商店が主流でしたから、店の人としゃべるというコミュニケーションが不可欠でした。駄菓子屋でキャラメルを買うのには店の人と会話が必要で、何個買えるかを聴きながら自分で最善の判断・選択を学んでいたのですが…。

 

快適で楽な社会を求めすぎたことによって、子どもの発達が促されなくなるようです。子どもの年齢×㎞が必要な歩行距離という考えかた方がある一方で、電車で子どもを席に座らせて自分が立っている親がいますが子どもの発達からすると真逆のことをしているのではないでしょうか。

 

大人がああしなさい、こうしなさいと言っても子どもの発達は促されないというのはエミールに記されている「消極的教育」です。自発性しか発達は起らないのです。

埼玉県の教育委員会で調べた運動能力の低下実態では、1985年から低下しはじめ、ここのところやっと下げ止まりました。1990年代に生まれた子どもはファミコン世代で、もっとも体力が低下しています。5歳児の運動能力は25年前の3歳児とほぼ同じだと山梨大学の中村和彦先生は分析しています。考える力、工夫する力できる遊び環境をどれだけ人工的に造るかにかかっています。

 

日本の子ども・若者の自尊感情の育ちの問題として、①自分は他の人に劣らず価値ある人間だに対して、米国89%、中国96%、日本38%が良くあてはまる、②自分は価値ある人間だと思う、米国57%、中国42%、日本7% と回答しています(2002年)

日本のひきこもりは100万人もいますが、欧米にはひきこもりはほとんど存在しません。

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Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ

つま先から着地すると疲れにくい

2013年10月30日 水曜日

子どもの育ちのメカニズム、育ちの土台の大きな変化として、「子どもはどうしてモンスターになるのか」という著書では、『先進国の子どもの問題行動はこの30年で倍増し、情緒障害は70%増加している。子どもが健全に成長していくために必要な自制心が身につけにくくなったのは、不健康な食事、不十分な運動と睡眠、不足しがちな親とのコミュニケーションなどのすべてが関係している』と分析、キレやすい子どもが増加しているのです。子ども自身の努力による身体活動リアリティーが少なくなっているからという一面もあるのです。

 

人類は家族を中心としたコミュニティの中で過ごしてきましたが、核家族化が進んでいる都市部ではそれが崩壊しています。以前は大人が中心になって作ってきたコミュニティ中で、子どもは大人がつくる生活に巻き込まれ、その一部を担い・手伝いをしながら子ども独自の異年齢集団、仲間関係づくりの中で、空き地や工事現場などで遊びを中心とした活動をしつつ、次世代コミュニティの担い手となる学びが自然とできていたのでしょう。

 

親の仕事を手伝って一人前にできるように教えてもらいながら、大人の目が届かないとことで子どもだけの異年齢集団をつくって、日が暮れるまで泥んこになってケガをしながら思い切り遊び、腹が減ったら家へ帰える。家庭の中で団欒を楽しみ、癒され、共同体感覚を培えたころと、現在は大きく変化してしまいました。

 

子どもが異年齢で地域の一員として伸び伸びと遊べたころは、大人が介入しない、過干渉しない、大人がさせないこと、野山などの起伏の有る場所でバランス感覚を学べました。その中からしなやかな運動性能、忍耐力、理想力、自己選択と自尊感などが身についていきました。山道を走りながら降りていくことでバランス感覚としなやかな身のこなし、足指から着地する能力を獲得できていたのです。多くの日本人は、走る時にかかとから着地するのですが、マラソン大国の選手はつま先から着地し、乳酸の増加を本能的に制御して、長距離を走破しても筋力疲労を起こしにくい走法を身につけているのです。

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Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ

『2013 ギビングツリー関東大会in東京』開催②

2013年10月29日 火曜日

image10月26日は台風の接近にもかかわらずセレ二ティホールに、250人が集まりました。藤森先生の講演では、子どもは意思表明権利を持っています、意思表明をしない子どもが多い、保育者にさせられているから、言うことを聴かせるのではなく、大人は丁寧に応答してあげること、泣くのも顔つきも黙っていることもモノにあたるのも、反抗するのも意見表明、子どもは自分ができる精一杯のやり方で大人に訴えようとしている、食べたくないと言ったら理由を聞くこと、子どもの思いを全部叶えてあげることではなく、丁寧に応対することです。子どもの言うことを何でも聞くのではありません、他の人の気持ちが解る力、興味を持つ力、やったことに責任を持つ力が育っていくのです。

 

保育実践場面で保育者が悩むことは、どこまで見守るのか、どの時点で介入するのかという点でしょう。ある食材を食べたくないという子どもに対して、単に食べなくていいよというのは素人でもできます。保育者はどうして食べたくないのか、本当は食べられるのに今は食べたくないのか、注目をひきたいのか、など多面的に考えて、保育者が関わることでその子どもが自発的な活動が展開できるように関わることが「子ども主体・子ども中心の見守る保育」で大切なポイントになるのでしょう。

 

P1090788P1090775研修会では見守る保育を実践している園が発表を行いました。育子園も保育環境をパワーポイントに動画を取り入れて、園庭で子どもたちが自発的に遊んでいる様子、今月にオープンしたばかりの「光と音の空間・ダークルーム」で不思議なモノに触れて探索・発見遊びをしている子どもたちの様子、9月に日本で発売されたばかりのスウェーデン製のシリコン入り砂「ダンシングサンド」の室内砂場で遊んでいる子どもたちなどをご覧いただきました。

 

★園内の動画です。ダウンロードに時間がかかる場合があります。

育子園園庭動画 (1)

育子園園庭動画(2)

育子園ダークルーム

 

大会期間中に約300人の保育者が育子園の保育環境を見学していただきました。今後も子ども主体・子ども中心の保育をひろめていく仲間を増やし、実践を高めていく取り組みを継続し、本当の保育の質の向上を目指していきたいものです。

来年度は神奈川県で関東大会を行うことも確認されましたのでどんな研修会になるか楽しみです。

Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ

『2013 ギビングツリー関東大会in東京』開催①

2013年10月28日 月曜日

P103018610月25、26日に育子園から徒歩1分のセレニティホールと育子園を会場にして「見守る保」を学ぶ大会が行われました。「2013 ギビングツリー関東大会in東京」と銘打って、新宿せいがの藤森園長先生の保育理念、保育実践を学ぶ仲間が二日間で400人参集しました。25日午前中は育子園に保育者が見学に訪れましたので、パワーポイントで園の概要説明を行って、園内を自由に見学していただきました。

 

25日午後からは、セレニティホールに150人が集まり、藤森先生の講演が始まりました。

平成27年から始まる方向の新制度で保育界はどうなって、3歳児未満の保育ははどうなるのか、子どもの権利条約に基づく、子どもの発達の可能性を最大限に確保する、自分らしく生き、周りの大人から認められ、ホッとしていられる安心感、チャレンジ精神、そのままの自分を受け止めてもらえる大切さを確認しました。

 

解り易い例として、お母さんは虫嫌いだけど自分が飼っているカブトムシは大切にしてくれる、だからお母さんが大事に育てている花に水をあげるようになった。という話は親が自分を大切に尊重してくれたから、母親が大切にしているモノも大切にしてあげたいという応答でしょう。母親は子どもにに水をあげてもらおうとしてカブトムシを大切にしたのではないのです、人は自分がされてうれしかったことを他者に模してあげたくなるものです。花に水をあげなさい、という強制ではなく、相手が喜ぶことをしていけば、予想していなかった結果が現れるのです。

 

就学前にその子どもが好きなことばっかりやっていたら、小学校に上がって困りませんか、という質問をする保護者には、赤ちゃんのハイハイはいずれ二足歩行をするために必要なのに、ハイハイをやめさせるのと同じこと、好きなことを思う存分させることで、小学校になって嫌なこともやろうとする意欲が出てくるのです。

この例も、保護者の不安を取り払ってあげるためにも効果的な導きだと感じました。

Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ

市民力の高い人とは

2013年10月25日 金曜日

OECDは「0歳からの市民教育」、「人は生まれた時からすでに優れた一市民である」という基本的な考え方をもっています。幼い子どもは何も解らない・できない存在だから大人が教育しなければ、という発想ではありません。ここでいう「市民」の定義は、単なる住民ではなく、「自分が所属するコミュニティで皆が幸せになれるために考え行動できる人」です。

 

良い家族をつくり、良い職場をつくる力のある人は市民力が高い人といえます。人と争い、人より先んじ、周りとの調和を保とうと努力しないと家庭や地域、ましてや生活の糧をえている職場で市民として尊敬されない人になるのです。

 

0歳から優れた市民として尊ぶ風土が根付いている欧州では、ほとんどの乳幼児施設は17時ごろに閉園します。家族で夕食を作り、家庭団欒の時間を大切にする時間があってこそ、明日へ・未来への活力が充電され、外で何があったとしても家に帰れば安心できる母港のような存在を家庭・家族の役目に据えています。欧州ではその人の人生、その家庭の周期と労働とのバランスを上手に変化させていける風土があるのです。

 

日本のように少子化対策と言いつつ、長時間保育を促進している国は無く、ここでも日本は稀有な長時間労働ガラ国と見られているのです。通勤時間が長いのも日本特有で、欧州で日本人が片道90分かけて通勤していると言うと「欧州ではそれは旅行という」と答えが返ってきます。

 親不在の家庭ときずな希薄家族の中で子育てをしている日本ですが、本気で労働時間の短縮を考えていくべきだとIMFは提案しています。労働時間の中で最も時間を有効に活用しているのは、子育てをしている女性だといわれていますから、賢い女性から学ぶことは多いのです。

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世界が驚く0歳児の集団保育

2013年10月24日 木曜日

これからの国力は資源が豊富だとか経済活動が活発だとかという視点ではなく、持続可能な社会をつくり平和な社会を構築していける人材がいるかが問われるでしょう。

1980年代の日本の高卒率は≒90%、ドイツでは≒50%でしたが、それを大転換するための施策として大学まで授業料無償化を進めてきました。日本はいまだに世界で最も教育費負担が高い国、若年層が海外へ出ていこうという意欲も低下しているのです。

 

なぜ先進各国が保育・幼児教育に力を注ぐようになったかというと、子どもに対する学習支援では効果が期待できないという結果が出ているからです。これはアメリカで低所得家庭の3歳の子どもたちに質の高い保育を提供したところ、30歳になった時にその子どもたちの方が給与が高く、高学歴者も多く、犯罪者は少なかったという追跡調査が物語っているのです。

 

犯罪者が多発し、それに対する刑務所経費等に国家予算を投入するよりも、幼児保育・教育を充実する方が効果的だということなのです。スウェーデンでも保育園に通っていた子どもの方が学力が高く、アメリカでは質の高い園では保育料15万円もかかる園ものですが、0歳から質の高い保育園に通っていた子どもが最も学力が高かったと報告されています。これは核家族で親と子どもが向き合っている閉ざされた生活環境は子どもにとって、あまりよくない影響を及ぼしているという結果です。

 

それを証明するように、世界乳幼児精神保健学会では3歳までは家庭で育つことが最善だということはいえないと報告しています。全ての子どもは質の高い条件の整った保育園で4ヶ月のコリックが終わってから育ててもらった方が良く育つ、昔のように地域で子どもが育てるような時代ではなくなったということ、親子だけで限られた空間にいつも一緒に居ると子どもの発達を促せないと判断しているのです。

 

OECD保育白書、スターティングストロングⅠ・Ⅱ・Ⅲでは、良い人材を育成するためには、0歳からが重要だと分析しています。日本は保育園等の子ども1人あたりの面積を狭くしようとする動きがありますが、スウェーデンのヨーテボリで開催されたオメック学会で、日本の狭い空間で0歳児集団保育が紹介されると、欧州の保育者はこれはありえないと驚いたそうです。

欧州では3歳以上の保育・幼稚園教育を無償化していますからが、現政権下で浮上した案はあれからどうなっているのでしょうか。

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男性は独学、女性は絆学

2013年10月23日 水曜日

1997年イギリスでは貧困率が15%、貧困家庭を応援するシステムを掲げ、家庭力の向上が不可欠なので貧困地域に質の高い保育、教育施設、保健センター、家庭支援制度を整備し、充実することで貧困撲滅に取り組みました。2004年には「保育10か年戦略」「児童法」を改正、2006年には「保育法」を促進し、現在では総合施設とチルドレンセンターが3,000カ所にも拡大しているのです。

このようなイギリスの取り組みは日本の保育新制度設計の参考になる事例があり、同時に日本の貧困課題解決に応用できると良いでしょう。

 

現在の社会システムの根底は、人口が継続的に増加することを見込んで成り立っています。日本でも縄文時代から人口が減少したことはありませんが、これからは毎年100万人が減少し続け、2050年には9,000万人、2100年には4,000万人にまで減少すると推計されています。欧州では積極的に移民を受け入れて急激な人口減少を防ごうとしていますが、言語や経済的な理由で、どうしても貧困層が出来上がってしまうので、乳幼児保育・教育に力を入れているのです。

 

農業・漁業の第一次産業や加工・製造する第二次産業から第三次産業が経済社会の中心に移行していますから、この分野は賢い女性の方が力を発揮する職種が多くなっていきます。

女性は他者と共感を求めながら、確認しながらものごとを進める特性があります。アメリカのある小学校1年生の読書の授業風景を放送していました。男の子は寝そべったり座ったり動きながら独学するほうが効果的です。

 

ところが女の子は1人ではなく、少人数でしゃべりながら学ぶことによって効果が出るというのです。女性はしゃべることで自己確認と他者存在を確認しつつ、ネットワークづくりを上手に拡げていける特性があるのです。このように、対人関係づくりが重要な業種やサークルに女性は不可欠で、いなければ成り立たないこともあるのです。ところが、女性は共感してくれる人が周りにいないと男性が想像できないほどの孤立感が増してしまいます。さらに賢い女性が1人だけだと、その人に仕事が集中してしまい、疲れ果てていくのだそうです。

全世界では女性の方が高学歴、日本は逆ですがこのように女性労働力に期待をしなければいけない時代なのですから、質の高い乳幼児保育が不可欠です。

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保育・教育を最優先するEU

2013年10月22日 火曜日

最新の発表では、世界で一番幸せな国はデンマーク、人口は≒550万人、日本に当てはめれば北海道や九州規模です。テファリキを行っているニュージーランドは≒400万人で、小さな国家のほうが国民みんなでよい国づくりをしようという意識が高いと分析している研究者がいます。20世紀は重厚長大、経済は常に右肩上がりとされていましたが、21世紀もそれを持続するのは難しいようです。

 

20世紀後半は、アメリカや日本が経済をけん引してきましたが、今後は勢力図も大きく変化していきそうです。EUでは国境を超えるのにパスポートチェックはほとんどなくなり、人々の往来が活発化しています。今夏の欧州8ヶ国旅でも、パスポート提示は空港だけ、陸路は全くノーチェックでしたから、パスポートの刻印ページ数は少なくなっていくのでしょう。とりわけ日本のパスポートは世界最強レベルで、ビザなし・ビザ現地取得可能数は150、入国が現地人並み・荷物ノーチェックの国と地域があるのです。これも日本が長年にわたり行ってきた海外支援、安定した国内情勢と礼儀正しい日本人旅行者のおかげです。

 

EUでは往来が活発になったので、保育制度等も均一化しようという発想が生まれてきました。子どもに投資するGDP比は日本は≒0.3%、欧州は3%を超える国が数多くあります。日本ではシングルマザーの貧困率は≒50%で世界トップですが、北欧とフランスは充実しています。とりわけフランスでは子どもの数が多いほど裕福な家庭になれるほど経済的支援を行っています。

 

1990年代に欧州では、保育・幼児教育を最優先することにしました。日本も民主党政権下で高校授業料無償と家族手当を始めたのは、世界各国に追い付こうとしたからで、有償だった珍しい国は日本、韓国、メキシコです。様々な面から見ても日本は世界の中でも珍し国だといえそうです。

 

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グランドは小学校になってから

2013年10月21日 月曜日

 

dc040803左写真のように2007年までの育子園の園庭は典型的な軍隊方式のなごりが色濃く残るグランドで、一年中トラックに白線が引いてありました。現在の地に園舎が新築された後に南側隣接地を買い増し、そこに植えてあったケヤキの木が園庭中央部に1本だけ、当時の写真を見ると殺風景極まりない日本式です。ケヤキ後方に見えるスチール製コンビネーションと呼ばれる遊具は15年前に国が全国の保育園の遊具を充実する狙いで各園1千万円もの補助制度を単年度だけ打ち出した時に購入したモノで、スチールを極彩色に彩色したスタイルは当時人気でした。

 

他には何もない園庭で過ごす夏季は木陰も少なく、風が吹くと砂塵が舞い上がり始末に負えない状態でした。ケヤキの落ち葉は毎朝すべて掃き取り、小さな石ころがあると保育士が事務室に届けることになっていたのです。2007年ごろから、園庭緑化された国内外の園などを見学したのをきっかけに、職員会議で話し合いながら植栽し続けて、以前とは全く異なる園庭環境に変化していったのです。園庭の真ん中に菩提樹やケヤキを植えた当初は、子どもが木にぶつかって怪我するのではないかと心配する保護者もいるほどで、軍隊式に慣れきった、刷り込みを払しょくするのには勇気と説明努力の継続が不可欠です。

 

秋から冬にかけて入園希望見学者が連日のように来園します。パワーポイントで上の写真を写しだしても、育子園の園庭だと解る方はいません。園庭改造の理由と経緯を説明すると、まさか数年で今の園庭に激変したことに一様に驚き、今の園庭になってから見学に来られて良かったとおっしゃいます。

子どもは自ら周りの環境にはたらきかけて発達していくという本能があるのですから、保育園の園庭に何もないのは理にかなっていません。野球やサッカーのルールが解り試合ができるような形状を求める必要はなく、やがて小学校に入学し、スポーツとしての競技を楽しめるようになればグランドが必要になるので、平坦で広い空間が用意されているのです。ところが小学校の校庭にも育子園の園庭に設置されているロッククライミングや吊り橋などを新たに設置して、全身運動機能を向上させようとしている取り組みが拡がっているのも見逃せません。

スチール製コンビネーションは今でも躯体は頑強ですから、2012年にウッドパネルを貼り付けて全面リニューアルしました。冬季に静電気が発生するなど不評だったチューブ滑り台は築山に埋めて再利用しています。

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長時間労働は効率的なのか

2013年10月18日 金曜日

現在の社会システムの根底は、人口が継続的に増加することを見込んで成り立っています。日本でも縄文時代から人口が減少したことはありませんが、これからは毎年100万人が減少し続け、2050年には9,000万人、2100年には4,000万人に減少していきます。欧州では積極的に移民を受け入れて急激な人口減少を防ごうとしていますが、言語や経済的な理由で、貧困層が出来上がってしまうので、乳幼児保育・教育に力を入れているのです。

 

農業・漁業の第一次産業や加工・製造する第二次産業から第三次産業が経済社会の中心に移行していますから、この分野は賢い女性の方が力を発揮する職種が多くなっていくのです。世界では女性の方が高学歴で日本は逆ですが、このように女性労働力に期待をしなければいけない時代ですから、質の高い乳幼児施設が不可欠です。

 

OECDは「0歳からの市民教育」、人は生まれた時からすでに優れた一市民であるという考え方です。幼い子どもは何も解らない・できない存在だから大人が教育しなければ、という発想ではありません。市民の定義は自分が居るコミュニティで皆が幸せになれるために考え行動できる人です。良い家族をつくり、良い職場をつくる力のある人は市民力が高い人と考えられます。人と争い、人より先んじ、周りとの調和を保とうと努力しないと市民として尊ばれないということになるのです。

 

 

欧州ではほとんどの乳幼児施設は17時ごろに閉園します。家族で夕食を作り、団欒の時間を大切にする時間こそ、明日へ・未来への活力と母港としての家庭・家族の役目です。欧州ではその人の人生、その家庭の周期と労働とのバランスを上手に変化させていける風土があるのです。

 

P1020996日本のように少子化対策で長時間保育を促進している国は無いのですから、ここでも日本は珍しいガラ国と見られているようです。通勤時間が長いのも日本特有で、欧州で日本人が片道90分かけて通勤していると言うと「それは旅だ」と答えが返ってきます。親不在の家庭と希薄家族の中で子育てをしている日本も、本気で労働時間の短縮を考えていくべきだとIMFは提案しています。労働時間の中で最も時間を有効に活用しているのは、子育てをしている女性だといわれていますから、賢い女性から学ぶことは多いようです。

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