2013欧州で保育を学ぶ旅(34)
2013年08月06日 火曜日
次は同組合が運営している農園とレストランがあるイルモンテに向かうのですが、狭い山道を登っていくので20人乗りチャーターバスから2台のワゴン車に乗り換えました。乗車したベンツ製のワゴン車はホイールベースが長く日本ではお目にかからない車種です。曲がりくねった山道を登りきると、あたりが一望できる見晴らしの良い丘の上に到着しました。
イルモンテでは5人の職員が知的障害の子どもたちを受け入れています。20人弱の子どもたちがここで自分に適した活動、たとえばグリーンツーリズム、木工作業、パン作り、生パスタ作り等の作業を行います。自分がやっている仕事が人の為に役立っているという実感が得られ、前に進んでいく動機付けになります。時には家族も訪れて子どもたにの活動を観察できるのです。
当日は傾斜地に造られた、各種野菜や花畑で職員と子どもたちが作業を行っていました。
中程度の知的障害の子どもたちの中には、ある事に非常に才能のある子どもがいますから、そこを見つけて伸ばしていくのです。1年に2回、子どもの個人計画を保護者と話し合って決めていきます。市では障害児のスポーツ振興も行っていて、バスケットや乗馬もあります。
昼食は旅の計画をしている段階から是非この場所でと願っていたイルモンテ内のレストランで、休業日でしたが特別に開けて頂いてここで採れた食材をふんだんに使って調理したトスカーナ地方の生パスタや野菜、ワインを頂戴しながら、パガニーニ作曲のラ・カンパーネラのフルートとホルンの即興演奏会が始まりました。
合唱団に属している理事長さんの素敵な歌声も披露して頂きました。初夏の日差しが眩しい高台にある自然一杯の場所でのランチは格別で、穏やかでゆったりと語り合える楽しい時間でした。
イルモンテで大自然の空気で癒された後、ボローニャ市街に戻って最後の訪問地、社会的協同組合「DOLCE」の本部です。20代前半の若者たちが作った協同組合で、子どもの発達を支援する目的で1998年に創立されました。社会福祉関連の事業として、子ども、老人、ホームレスと幅広い分野で支援活動を行っています。あらゆる分野のプロ集団が必要ですから、人材育成が課題です。学生9人で始めて組合は今では、収入は7000万ユーロ、組合員2500人を数えるまでに成長しています。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ