2013欧州で保育を学ぶ旅(33)
2013年08月05日 月曜日
B型共同組合COPAPSの本部を訪問しました。この協同組合は1976年頃から活動していましたが、正式には2002年に創設され今では各国から視察に来るほどの成長ぶりです。爽やかな日よりでしたから、元ピザ焼窯の前に椅子を持ち寄っての、青空ミーティングの時間が始まりました。
知的障害者を農業によって勇気づける活動、農業生産活動として無農薬の花、野菜、穀物を栽培して販売もしています。職員の内、複数人の障害者を雇用し、リハビリを目的とした活動として、生パスタを作って経営しているレストランで提供しています。墓地や公園などの緑地メンテナンス事業、分別ゴミステーション管理など、職員54人のうち12人が障害者です。
年間売り上げ100万ユーロですが、知的障害者雇用の草分けとして注目されているのです。協同組合の中には従業員3,000人超の組織もありますが、イタリアの経済環境は厳しいので新規で知的障害者を雇用する事は難しい状況です。現在は30ヘクタールの農地がありますが、さらに12ヘクタール広げる予定で、森林部分を開発して農業生産が可能な土地に整備していきます。
イタリアでも近年は農業を辞めてしまう傾向にありますが、耕作放棄地を活用して協同組合で生産拡大していきます。当組合は環境に優しい組合を目指していますから、再生可能エネルギーなどの活用を始めています。イタリアは小学校5年、中学校3年、高校5年までが義務教育で、知的障害の程度によって企業や職業訓練学校やリハビリ活動などへ進んでいきます。人材育成活動を経験した事のある人材が市から委託され、一年間働いてみてその後の進路が決まっていきます。
従業員50人以上の企業は7%の障害者雇用義務があり、障害者の保護者の集いがあって様々な話しあいの場でシェアしています。以前は徴兵制があり、徴兵を希望しない人は社会的活動をする義務がありました。説明して下さった理事長さんもその制度を活用し、その延長線上に現在があるのだそうです。
のどかな敷地内の広大な畑も見学し、草花・野菜・野菜加工品などの直売店舗がありましたので、トマトとバジルの瓶詰を購入しました。ゆったりとした豊かな自然の中で、様々な人同士が共生する意義と実践を重ねている現場を学べた貴重な時間になりました。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ