2013欧州で保育を学ぶ旅(31)
2013年08月01日 木曜日
2ヶ所目の保育園は2012年にオープンしたばかりの園で、エコを意識した建物になっています。太陽光パネルも設置され、古い城壁が玄関横にはオブジェとしての残され、園名の繋ぐ「Filo nido」を象徴しています。土地は市所有ですが、建物は協同組合が公的補助金と銀行借り入れをして建設しました。市の要請として現在は待機児童解消のために保育園を造っているのですが、将来子どもの数が少なくなることも想定した建物にするように要請されました。
そのための工夫として室内の壁壁面は移動可能、家具もキャスター式にしてありますから、他の用途に活用できるのです。エネルギーは基本的に侍従自足、雨水を貯めて庭に散水もしています。近隣には丹下健三氏が設計した見本市場もあり、近隣企業の子どもを優先的に入園させる枠があります。3か月以上81人の園児がいます。0歳児のクラスには大きなキッチンがあってここで配膳作業を行います。
おむつ交換台は欧州仕様の子ども自ら登れる階段付です。子どもサイズの家具で家庭のリビングをイメージしたコーナーには、ここにもアイロン台がちゃんとおいてあります。ピストイアのラゴマゴ保育園でも同じでしたから、例のイタリアでは全ての衣類にアイロンがけをするという習慣を伺い知ることができました。
プラスチック製玩具は一切使用せず、自然素材、野菜などを使って自分たちで玩具を作って遊んでいます。年齢で遊びを区切らず、子どもの発達と興味を優先した異年齢の交流があります。
子どもたちの絵画などの作品を廊下に所狭しと展示し、ここにも夏季特別保育の案内が掲示されていました。平屋建ての全ての保育室から南向きで広々とした園庭に出ることができます。園庭は起伏をつけた緑豊かな環境に整備されていて、竹を編んだトンネルや、直径1mもある切り株、音階ベルとドラなどが設置されていました。開園間もないので今後さらに緑化が進んでいくことでしょう。何年か後に訪れてみたいこれからが楽しみな園の一つです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ