2013欧州で保育を学ぶ旅(28)
2013年07月29日 月曜日
市役所でピストイア歴史について説明を受けました。市役所は1350年に建てられたもので、大聖堂に隣接し町の中心にあります。広場に集まってくる市民の様子が良くわかる場所で政治が行われています。市民の集いの場所でもあり1920年に開館された美術館も併設されています。子どもたちも興味を持つ建物です、市の紋章は猿で市庁舎の中にその猿が住んでいると仮定して、子どもたちは探索活動を楽しみます。
説明を受けた場所は夏の市議会場で天井が高い部屋です。隣には冬の市議会場があり、そちらは天井高が低く、高低差で温度をコントロールしているのだそうです。
壁面のフレスコ画は数百年もの間、未完成の状態です。子どもが市議会場の席に座って模擬議会を体験することがあります。たとえば動物を殺さないようにしようという議題が子どもたちからはあげられます。幼いうちから自分が生まれた地域の政治に参画する体験をとおして、郷土に対する意識と愛着が形成されていくのでしょう。
市役所に隣接しているロマネスク様式のピストイア大聖堂を参拝しました。この度で尋ねた宗教施設は10か所目、12世紀に建設された質素ながらも荘厳なひんやりとした空気感のある堂内でした。自分を見つめるには最適の空間です。
マリオマリーニ美術館を訪問しました。イタリアを代表する彫刻家でマリーニさんは全てのモノは色から始まると言っています。時代と共に現実的なモノから非現実的な変わっていきます、生涯のテーマは裸婦、馬と騎士、サーカスの3つでした。ここには3歳以上の子どもたちを連れてきて、『マリーニさんの芸術と遊ぼう』というテーマで楽しみます。作品を通して話をすること、実際に作ってみること、大地をテーマにしたプロジェクトや、家庭菜園に種を植えて土遊びをしたり、動物と人間が友達になるテーマは平和教育に発展していきます。
この美術館は1300年代に建てられた修道院でしたが、マリーニさんの死後、奥さんが1990年に改造して開館しました。子どもたちのための空間も用意され、年間6,000人の子どもが利用しています。お子さんがいなかったご夫婦は、世界中を旅して子どものための美術館を巡りました。
昨年訪問した時のブログでも紹介したとおり、岐阜県の白川町の音楽フェスティバルに参加したことをきっかけに、ピストイアと日本の交流が始まりました。
訪問したマベリーニ音楽学校の校舎は18世紀の建物です。市街からは少し離れた場所に建てられた理由は、農作物を集めるためでした。音楽学校になる前には老人施設として使用されていた歴史があります。建設当初は天井・壁フレスコ画で装飾されていましたが、老人施設になった時に壁は白く塗り替えられました。今は少しづつ壁面をはがしては当時のフレスコ壁面に戻すために時間をかけて修復しています。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ