2013欧州で保育を学ぶ旅(26)
2013年07月25日 木曜日
ピストイア市内の北部、ラーゴ通り沿いにあるラゴマゴ保育園を訪問しました。昨年9月にもこの園を訪問し、整然とした環境設定を是非とも今回の参加者にも体験して欲しいと思い再訪したのです。園舎の北側は池を中心とした公園が拡がっているゆったりとした住宅街の中にあります。
3か月から3歳児までの保育園で、1階が1歳児の子どもたちのスペースです。2階が3歳児までのエリアです。職員は9人の先生と2人のアシスタント、基本開園時間は7:30~15:30までですが、18:30までの延長保育も受け入れています。
周囲は自然環境が保たれていますから、自然素材やリサイクル素材をふんだんに保育の中に取り入れ、子どもたちの探求心を高め、発達を促しています。ドキュメンテーションによる掲示物を充実させることで、保護者や見学者への保育実践を伝えています。子どもたちが生活の主人公、皆で優れた素材に囲まれて過ごすこと、子どもたちにとって園で過ごす時間はとても重要な位置を占めています。
2、3児は36人です、9人づつ入園してくるので非常に落ち着いています。午前中は9人グループに分かれて活動しています。マスコット犬のペギーちゃんは毎週末は各家庭に連れて帰り、週明けにどうやって過ごしたか話してもらいます。幼い子どもにとって家族的な環境が大切だと考えて、室内を設定しています。壁面のイラストレーション、表現の部屋では子どもの発達を観察して様々な素材を提供しています。
大人が想像しないことを子どもたちは見つけ出していくのです。質感、音、触感を味わえるもの、自然素材などは夏休み中に見つけたモノを保護者が提供する場合や、地域住民が持ってきてくれることもあります。子どもたちは研究心にあふれています、社会性や教養が高まっていくためには皆で子どものためになる環境を整えていく必要性があります。顔料、鉛筆、クレヨン、布、各種紙類、イーゼルなど本物を提供しています。
図書室、物を大事に使うこと、ブロック室、木製のモノを揃えて子どもたちをつぶさに観察して、1980年代にコーディネーターと建築家が話し合って、この保育環境を造り上げていきました。整頓されていること、非日常的、大人にとっては不必要なモノが子どもにとっては宝物であるのです。
週案で4グループのスケジュールを話し合い、1グループは1週間同じゾーンで継続的に遊ぶようにしています。1週間を超えて同じゾーンで過ごしたい子どもがいれば、その子どもの気持ちを尊重します。4グループの特徴も現れてきます。9人づつ入園してきてグループを構成し、担当する先生も3年間同じです。当然のことですが他のグループとの交流は日常的に行っています。9月3週目から11月が入園期間なので、1週間に2人づつ入園してきます。基本的空間設定は変えませんが、常に改善を加えています。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ