2013欧州で保育を学ぶ旅⑳
2013年07月17日 水曜日
ピストイアでは4つの幼児教室の特徴として、黄色:おとぎ話とゲームとおもちゃ遊び、青色:芸術的な表現活動、緑色:探検や調査、赤色:家族と一緒に活動があります。学校および教育施設は、子どもたちに対する、また彼らと共に成長したいという欲求に対する地域の理解を表現し、代表する総合的なネットワークを形成します。
学校はネットワークを作ります、学校は周囲の環境とのつながりと結びつきを、高いレベルで維持します。
そしてピストイアの幼児教育のヴィジョンは先験的な理論に頼らない、実践を何よりも前提にし、その実践をめぐって教育者の全員が反省し考える、完全な理論というものはない。経験と話し合いに基づいて何年にもわたって相互に培われた発展の結果のみが存在すると考えられています。
教育センターを訪問し教育に対する考え方についてセンター長さんに説明していただきました。ピストイアでは年間予算の20%を教育・保育関係に用意しているほど次世代への投資をしています。
ピストイアの教育・保育に対する考えたかの基本は、グローバリゼーションで今回のように日本から訪問してくれるようになったのもその表れです。教育の質はコミュニケーション能力で、孤立したものではなく、暮らしの中とつながっているものです。ぜひ日本の教育・保育についても学びたいと思っています。異国の地からの視線で、ピストイアを観察して質問等をなさってください。とおっしゃっていました。幼い子どもに対して公的予算を投資すること、スターティングストロングは未来の国を決める重要なこと、そのことをOECD諸国は痛感しているのです。
重要なのは政治から働きかける力がとても重要で、教育に情熱をかけているところであるという点、乳児園を充実していて、0歳から受け入れています。5カ所の認可乳児園は、町の35%の子どもたちが利用しています。イタリア全体では13%にすぎませんが、ピストイアでは利用率が高く、ピストイア独自の3~6歳の幼児学校は27カ所で、その内公立、国立、私立があり、100%の子どもたちが通っています。
質の面では、幼い子どもたちが健康に生活でき、子どもたちのコミュニケーション能力、仕事への参加などが大切だと考えてます。頭と体は共に成長していくもの、子どもたちの健康は大人の健康でもあります。まず、先生が健康でなければなりません、心身ともにです。環境がどういう風に考えているか、保育環境の美しさは子どもの権利です。美しい場所は老若男女ともにいつもでも居たい、居心地の良い場所です。
見た目の美しさだけではなく、スタンダードなモノだけではなく、個人個人に必要なモノを用意することを大切にしています。それはそれぞれの家庭が違うように、園もそれぞれのパーソナリティを重視しているのです。これが大事なコンセプトですが、大人が与えるのではなく、子どもが持っているものを引き出せる、創作意欲が湧くような環境設定です。
子どもたちの発達過程を見極めて、環境を提供し大人と共に高まっていくので、子どもの内面からの競争力はその子どもの許容量なりに様々です。積極的な子ども、内省的な子ども様々ですが、さらに様々な保護者を教育していくことが必要です。
確認しておきたいのですが、保護者はお客ではありません。保護者が教育・保育に参加するスタイルです。保護者主催のイベントもあり、教育者と共に子どもを真ん中に置いて高まっていくのです。親の成育歴を理解することは教育者にとって必要不可欠です。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ