2013欧州で保育を学ぶ旅⑱
2013年07月12日 金曜日
イタリア・レッジョエミリアやピストイアで確実に行われている保育現場のドキュメンテーションは、子どもを観察するプロセスで、そして日記を反省することは教育環境の中で計画を改善し、保育者たちが観察し解釈し決定して、同僚や子どもたちとコミュニケートするのを支援します。
このプロセスは、学習プロセスを維持していく際の保育者の積極的な参加を強調するものであり、他の種類のドキュメンテーションと異なっているため、時折[教育学上のドキュメンテーション]と呼ばれることがあります。
写真、逸話的レコード、子どもの仕事のサンプル、子どものコメントの写し、会話などの証拠の断片を集めることが、必要になります。そして、その証拠は、分析され、系統立てられ、共有され、論じられて、最後に完成した形で提示されることになります。
保育者がもっぱら使用するものではありますが、ドキュメンテーションは、大人の生活にも子どもの生活にも有益です。それは、保育者が経験を刺激しながら、子どもの欲求に答えるのに役に立ちます。さらにドキュメンテーションは、保育者たちがすぐれた伝達者(コミュニケーター)になり、すぐれた仲介者になるのに役に立ちます。自分の見方や考え方、相手の視点を双方向で学べ会える友好的ツールなのです。
教えたり学んだりする最終的な成果が、入念に明瞭にデザインされた小冊子、パネル、ディスプレイによってはっきりと目に見えるものとなり、初期幼児期教育に対する保護者や社会の価値評価が高まることになったのです。
教育というこの分野が始まって以来ずっと、観察して反省するというこの活動は、初期幼児期教育の書くことのできない要素でした。しかしながら、これらの活動は、イタリアのレッジョ・エミリア( Reggio Emilia )で、洗練され広がって世界中に大きな影響を与えました。レッジョ(Reggio)では、ドキュメンテーションは、子どもと大人の親密な関係に基づく一種の「可視的な傾聴」(visible listening)であると位置づけています 。
ドキュメンテーションは、学ぶことと教えることを支え、両方向とも双方向の移行のプロセスにする「目に見える」痕跡であり、手続きなのです。学ぶことと教えることを見に見えるようにするには、入念に記録され反省され、なかんずく尊重され維持されることが、手近な方法なのです。イタリアのドキュメンテーションプロセスは、北アメリカでよく知られた緊急カリキュラム の教育実践と容易に結びつきます。
緊急カリキュラムもそうですが、教室での活動は、保育者と子どもの相互作用の結果であり、双方共が学びの価値ある単位を作り上げるために努力して成り立つものであり、保育・教育計画は前もって決定されたものではありません。
同様に、ドキュメンテーションは、当然子どもの関心と強さに基づく幼児のカリキュラムと合体したものです。ドキュメンテーションは、子どもの個別化された体験と結果を反映しているポートフォリオを作成するために、一定の期間使用されます。
それはまたある期間にわたってあるトピックを追求する子どもを支援するために役立つプロジェクトを計画することとも一致します。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ