2013欧州で保育を学ぶ旅⑯
2013年07月10日 水曜日
イタリア・ピストイア市のインセリメントー(Inserimento)のプロセスは、1995年に12の家族が研究されました。これらの家族は3年間、研究の対象になり、どのようにして初めて教育プログラムに移行していったか、夏休みの後で再びどのようにしてまた教育プログラムに戻っていったか、幼児期センターから前小学校(preschool:プレスク―ル)の施設にどのようにして進んでいったか、調査されました。
乳幼児センターでは、先生たちに手で、居心地の良い親しい場所が準備されました。枕やおもちゃ箱が準備され、一つ一つの家族を歓迎したのです。保育者はた、初めて移行期を経験する子どもたち一人ひとりの写真やノートで、壁を飾りました。 あるセンターでは、先生と親たちによって毎日書かれたノートが置いてあり、子どもたちがそれを見ることができました。
別のセンターでは、一人ひとりの子どもの写真が飾られ、初めて来た日に背丈を測ったひもが入ったプラスチックの封筒や、幾つかのノートがおいてありました。ある年には、新乳幼児の先生たちは、一週間分のインセリメントー(Inserimento)の記録ビデオを作成しました。これによってすべての参加者の感情が高まったことは、容易にわかります。
親は、喜びと期待の気持ちを持って、新しい状況の中に入って行ったのです。子どもたちは、親の顔の表情に彼らの感情的反応を読み取りました。母親だけが、あるいは両親が、または時には祖父母が、移行期の子どもと親を導く先生に会いにやってきました。
両親は最初の日には、子どもを一人にしておくことは決してありません。その次の日に、その子どもがくつろいでいるときは、親は、じょじょに長い間一人にしておくようになります。どのようなペースで離れるかは、子どもと親の情緒の安心の程度によって違います。一か月近くのいわゆる慣れ保育は珍しいことではありません、一人ひとりの子どもの様子に適宜対応しているのです。
スムースな始まりを企画するための幾つかの提案として、子どもたちがみんなの名前を知るのに役立つ、多くの歌、及び、ゲームもあります。保育者は新しい環境で必要となる園の約束など注意深く教えることから始めなければならないと言うことを熟知しています。障害をもった子どもたちやその家族を生徒に紹介する効果的なやり方を、いろいろ考案してきました。
幼児とよちよち歩きの子どもたちにとって、入念な計画が必要なのです。これらの乳幼児に対する愛情関係が、園での生活の中心なのです。幼児とよちよち歩きの子どもは、移動と調整の時期には困難な問題を抱えています。なぜなら彼らは、元の愛情関係をまだ心の中に持っていて生活しているからです。
別れや調整の時期には、子どもたちの恐怖や心配事を考慮に入れなければなりません。親の感情についても、注意深く対処するように配慮し、新しい家族を歓迎する雰囲気を作り出し、幼い子が調整の時期を無事通過する手助けをする教育プログラムもあります。
教育者のなかには、イタリア人の仕事からヒントを得て、インセリメントー(Inseriment)の戦略の幾つかを組み立てた者もいます。それらは、「乳幼児センターでの関係の構築」と題された写真付きエッセーと、ピッツバーグ乳幼児センターの先生たちの歓迎の有様に、示されています。
センターを新しい子どもに経験させるための多数の戦略は、親たちに明瞭な情報を提供し、個人的に接触し、調整とオリエンテーションの期間をそれぞれに与えることが、中心になります。加えて、「様々な事柄を遂行する」戦略以上に、「感情的な事柄も」も重要です。
幼い子どもたちが彼らの感情を表現し、彼らの過渡期がうまくいっていることを表していることに先生たちが敏感になり理解を示して行くには、スムースな移行を作り出す様々な活動が必要です。保育者は、そのとき子どもと家族が新しいプログラムにおいて快適であると感じるために、自分たちが働いているのだとわかるのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ