2013欧州で保育を学ぶ旅⑭
2013年07月08日 月曜日
保育所(nido) の部屋は、強いコミュニケーションの価値を持っています。それはメモリー〔記憶〕:文書記録(ドキュメンテーション)の空間(スペース)、意味深い写真、イメージ、言葉を子どもたちが注意深く使用することで、このコミュニケーションの価値が、部屋を親しみやすく暖かいものするのです。
部屋は子どもたちと共に作られた経験の説明、プロジェクトの思い出、社会生活の重要な瞬間を含んでいます。
これらの物やサインがあることで、子どもたちは、彼ら自身のものとしてスペースを感じることができます。
何年にもわたり、次々と新しいアプローチが現われてきました。そのドキュメンテーションは言語の建築と呼んでもいいでしょう。
この建築〔アーキテクチャ〕は、保育園( nido)の壁を大きな開かれた本に変えました。
パネルや絵や言葉でいっぱいにすると、それが保育所(nido)の容量を増やし、新しいスペースとなりました。
予めデザインされるのではなく、特別なコーナーや縁(へり)を、独創的なやり方で利用したのです。
文書記録(ドキュメンテーション)を通して、保育園(nido) のスペースは、子どもたちの知性と技能と学習能力と好奇心と助け合いの精神の証人になります。
これらのスペースが親に訴えかけて、彼らがコミュニティの友達を形成して、いろいろな関係を確立し、協同の記憶を磨き上げ、親が一緒に学ぶ手助けをするのです。
私たち人間は、育った場所の質などによってによって大きな影響を受けるのです。
発達心理学が強調するのは、長い間にわたる新しい経験の場に対する子どもたちの情緒的な記録(文書)が、彼または彼女のアイデンティティになり、人びとに対して感じる愛情へと一貫してつながっているという事実です。
これが多年にわたり、子どもたちが彼等のものとなったスペースで成長することができるように努力してきた理由です。
それらの空間(スペース)に子どもたちは愛着を持ち、それらの空間が大人になったとき、彼等の幸福な幼年時代の思い出になるのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ