2013欧州で保育を学ぶ旅⑫
2013年07月04日 木曜日
保育園はアイデンティティの場所、 個人のアイデンティティ、他者との関係のスペースです。保育所(Nido)は、長い間に渡って、固有の特徴とアイデンティティをもった、ユニークな場所として設計されました。
その結果、独特の家具、備品が選ばれ、情緒と驚きを作り出すことができる手工芸品を備えることになりました。
たとえ基本的な選択が同じものであるとしても、教育センターは、それぞれ他と異なっています:なぜなら、それは、家と同じようにそこに暮らす人びとの趣味と習慣を反映しているからです。
保育所(Nido)の 教育者は、彼等自身の計画と実践的な技術でもって、熱心にこれらのスペースを広げて豊かなものにしてきました。
これはしばしば、初期の幼年時代サービスにありがちな二重の危険を防ぎました: 事柄が化石化することによる過度の制度化の危険、すなわちあらゆる事が長々と続く危険、あるいは反対に、楽しい場所でも愛着を感じる場所でもないために事柄が完全にゼロにリセットされてしまう危険――この二重の危険を防ぎました。
子どもたちの主観性が認められ支持されていると感じるように努力してきました。安心感と歓迎されているという感情を子どもたちに伝えるように。
このことは、子どもたちが一人ひとりが、保育所(nido)の中に自分たちのしるしを発見し、出来事を記憶するのに役立つ歴史の跡を発見することができるということを意味します。
この枠組みにおいて、各部屋は個々の物語(ストーリー)の自然な容器になります。
それらの容器は、保存され広げられ強化されて、子どもの多様性を認めて彼等の内面生活を豊かにします。
この認識から出発することで、子どもたちと大人たちとスペースの、豊かで積極的で社会的な相互関係を創る事が可能になります。
それどころか、スペースこそが大人たちと子どもたちとの社会的な関係を反映し、両者の関係にバランスをもたらすことができます。
この空間(スペース)の中に、大人たちは様々な方法で子どもたちとの関係を確立していくのです。
これが、異なる社会的な状況に対応したやり方で、保育園(nido)の中に、一人あるいはペアーで、小さかったり大きかったりするグループで、一緒に活動する場所をわれわれが組織した理由なのです。
子どもたちが自分のやり方で自由に遊ぶことができる私的な領域を創り出すことで、特にプライバシーが保護されるようになりました。
関係が強化され同輩と互いに分担(シェア)する感覚が強化されると、この感覚によって子どもたちは、相互に理解し合い、一緒に遊ぶことができるようになります。
小さい家 隠れ家、敷物、小屋、箱、大きい車、これらのものが、関係の様々な容器になり、社会的な知識と認識を深め、個々人が小グループを形成して遊ぶための、逆に小グループの遊びが個々人の遊びになるための、容器になります。
これらは、子どもたちがうずくまって潜んでいたいと思うような場所です。なぜなら、うずくまる者だけが、そのような独特な場所に住むことができるからです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ