2013欧州で保育を学ぶ旅⑩
2013年07月02日 火曜日
ピストイアでは、保育園( nido) のスペースについての考え方は、全教育プロジェクトについてのより一般的な考えの一部です。
保育園(nido) から幼稚園まで、あるいは実験室から子どもたちの領域まで、スペースの価値に注意を払うことが常に、ピストイアの教育サービスにとって重要な事柄でした。
空間(スペース)に注意を払うことで、幼児の思考、言語、情緒を具体的に育てていくことができたのです。
それは長くて、複雑なプロセスでした。
その共同作業は、強力で粘り強い作業で、それらサービスを発見し賛同した人々によって支えられてきました。
その結果、幼年期のための場所が美しく整えられ、子どもたちの発達の欲求に答えられる場所となっただけではなく、子どもと親と教師が作る共同体の中で子どもたちとその生活の価値を互いに確認できる場所にもまたなったのです。
スペースに対して注意を払うことは、創造的なアプローチの結果でした。
幾つもの教育方法と統合したアプローチ、子どもの欲求の正しい理解、抽象的でない計画の精巧さを必要とした数々の分野を統合したアプローチ、の結果でした。
さらにまたこの環境は、単なる容器でなく、そこに根付き、かつそれによって表現される教育の不可欠な一部分であります。
それは、経験の無定形の殻でありません。
可能性を試すかあるいは禁じるか、励ますかあるいは落胆させるか、振る舞いと姿勢を教育するか、あるいは一様で伝統的な考えを押しつけるか、一般的な福祉という「友好的な雰囲気」の場なのか、情緒的な愛着の場なのか、個人に重要な場ではないということを伝えようとする場なのか、これらの解釈が含まれているのです。
目的は子どもたちが成長するだけではなく大人たちも成長する場、「場所の感覚」とでも定義されるもの、すなわち環境に属する知覚〔知覚力〕を養うことです。
この基本的な感覚こそが、主体的に課題に取り組む私たちに、参加と責任感を育んでくれるのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ