ドイツ研修 Part2 ~障害者に対する教育~
2013年07月23日 火曜日
初日に行ったペスタロッチ通りにある幼稚園(ドイツでは、幼稚園や保育園の名前がありません。
キンダーガーデン・キンダークリッペ・コープという施設の区分だけで、後は通りの名前や番号でその園を特定します)は、3歳から6歳までの子どもたち40名を2グループに分けて保育をしていました。
そのうち3名の障害児を受け入れていました。
障害児のために専門の職員が入っています。
他にも障害児に必要と思われる専門の先生を呼び、色々なセラピーをしてもらっています。
1週間に1回小さな部屋で、言語作業・動作作業・ボディーセラピー(筋を伸ばすためのセラピー)をしていますが、障害児ではなくても、ボーダーの子やストレスが溜まっている子、精神的に弱い子なども一緒に行ってもらっています。
障害児だけでなく、必要と思えば参加できるということもあり、保護者としても“特別なことをする”という感覚がなくなり、抵抗がなくなったということです。
園庭では、線で道路のような道が書かれており、そのコーナーをスクーターや三輪車のような乗り物に乗って、グルグル回って遊んでいました。
コーナーには、ちょっとした障害物が置いてあります。
1センチくらいの厚さのある板があったり、ちょっとした坂があったり、シーソーのように乗って重さがかかるとガタンと下がるようなものが置いてありました。
ゲートもあり、スタートしてゴールまで行き、もう1度やりたい時は、またスタートのゲートを潜って始めるというルールもしっかりしていました。
ところどころにポールが置いてあり、前の人が行くまでそこのところで待つという目印のようでした。
凄く楽しそうに子どもたちが遊んでいる中、車椅子の子どもも同じようにそのコーナーを回って遊んでいました。
障害児も同じように遊べて凄いなあと思って見ていると、本当に障害を持った子も居ましたが、障害がないのに車椅子に乗った子が居ました。
ここでは、スクーターや三輪車と共に車椅子も乗り物の1つとして置いてあるのです。
そして乗り物として車椅子に乗り、障害物を乗り越える遊びをして通して障害者の大変さを知っていくのです。
引っかかって動けないで困っている子を見ていた子が助けてあげる場面も見ました。
素晴らしいなあと思いました。
言葉で“障害がある人を助けましょう”と言って教えるのではなく、遊びながら障害者の大変さを体験して知っていく。
それによって自然に助けようとする気持ちが起こる。
小さいうちから障害者に対する見方が自然と育っていくのです。
保育士の先生からは、“足が使えないということはどういうことなのか”、“車椅子を使ってどんなに大変なことなのか”を体験し、“足が使えることがどんなに幸せなことなのか”が解り、“困った人が居たら、積極的に手伝おう”という話し合いも自然に出来るということでした。
また車椅子が引っかかって上がれない時は、1回下がってからやると上がれるということも知っていくとのことでした。
教えるのではなく、体験して身を持って感じていく、それによって人の思いが解っていくという、深い教育でした。
ここの園だけではなく、他の園にも保育室の玩具などが置かれているところに自然に車椅子が置いてありました。
遊びの1つとして体験して障害に付いて知っていくという環境が整っていました。 M.
K
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