造形ゾーンで感じる事
2013年07月17日 水曜日
造形ゾーンで遊ぶ子ども達は、思い思いの素材を自分で選び「物作り」に励んでいます。
作ることが楽しみな子ども達だけが集まるという訳ではなく園のリサイクルボックスを覗くのが楽しみな子や、その中に入っている少し変わった素材を見つけては「すごーい」と一日手に持ち喜ぶ子どももいます。時に、今朝リサイクルボックスに入れた物を使いそれで何かを作り新しくなったリサイクル物を持って帰る子どももいます。それは、大人からしてみればただのガラクタかもしれませんが少し子どもメガネをかけて見るとそれは、貴重な世界で一つだけの宝に見えます。
造形ゾーンのSTYLEの好きな物を使い好きなものを作るという自由の中で子ども達の感性に磨きがかかります。
また、それらは正にARTです。
特に何を作るのでもなく組み立てていく。
初めは「車作ってるの!」から完成品は「スカイツリー」に変化したり…。
保育士が「何作ったの?」と聞くと、「何かわからない…」…。
そんな姿を目の当たりにすると、いかに作っている最中が素晴らしいものなのかと改めて実感致します。真剣にハサミでダンボールをカッティングしている三歳女児(相当な力が必要です。ですが顔や姿は真剣です。切る事を楽しむというよりも、切りたい!が強いのでしょうか)、空き箱にハサミを入れて自由な造形をする子(その子の感性に任せる他ありません)これらの姿、その時の表情や、行動、言動の記録を元にその子の今を知ることが出来る事も、特に保育士の醍醐味なのだと感じます。また、保護者の方もそのような作品を目にした際には最初の一言でも褒め言葉にするだけで子どもの表情は輝くのではないでしょうか。是非お試しください。
それとはまた違ったCraftも、とても面白く子ども達は沢山の興味を示します。
何か形になるものを作る、テーマを【車】とすればそれぞれ好きな【車】を作ったり…。
もちろんCraftに関しても作りたいという気持ちがある子達が行うのでやりたくない子はいません。
Craftは作る目的意識とある程度の行程がありますのでお手本や見本を見ながら行うことが多々です。しかし、【テーマ】があるとどうしてもその【テーマ】それだけしか選択肢がないと感じがちですがたった一つのテーマでも表現方法や感じ方、その中に無限に近い選択肢があるとも言えます。(例えば、色や、模様、形等のどれにも選択肢はあるのです)どちらにしても子ども達にとって、子ども達のその選択するものの「質」を大切にしていく事が重要でした。
子どもが何をしているのか?
何を作っているのか?
何を言いたいのか?
何をしたいのか?
それを保育士もしっかり考えていかなくてはなりません。
人対人だけはなく、人対モノの理解をしていく事が難しい事でもありました。子どもの作品や絵を見てどのように感じるか、大人も感性を磨かなくてはならないとレッジョ・エミリアの講師に学ばさせて頂いたことでもあります。
私自身子ども達と造形ゾーンでCraftを提供する事があるのですが、そのCraftの中で子ども達は様々な作品を生み出していきます。素敵なモノや変わったモノ(こちらの勝手な解釈ですが)は、やはりベースとして【自由】が基盤となっていますのでARTにも見える一方、大切なのは作品や遊びの経過だけではなくそれと共に同じくらい大切な「きっかけ」もそこに見えてくるものでした。その「きっかけ」等もしっかり見つけ出し時にはさりげなく提供出来るのも、保育士ならではの醍醐味であると感じます。どのような場面でどんな声掛けがいいのか?少し違えば、精密なパズルのように子ども達の胸にはガッチリとはまりません。提供するモノと場面がポイントでもありました。
以前、造形ゾーンで船作りを行った際には船を作る「遊び」から、大きめのプラ箱に水を入れその船を浮かせられる物を用意し作った船で遊ぶという「遊び」の延長を提供していきました。造形ゾーンで次から次に船が出来ていき子ども達は僕も私も作りたいの一心です。事実、特にこの日に船作りをするという事は計画せずに行いました。では何故、船作りを行ったのか?そのきっかけは簡単なものでした。
ある日、水遊びを沢山楽しむ子ども達がいました。子ども達はとても嬉しそうに水着に着替えタオルを手に友達とお喋りを楽しんでいます。しかし、そうでない子ども達もいました。その子ども達は家庭の都合や体調不良等でプールに入る事が出来なかったのです。そこで、何も水遊びはプールだけでは無いとその子ども達に船作りを提供する事を始めたのがきっかけでした。
日頃、様々な素材やCraftを子ども達に提供する事は大事ですが、「今」というその瞬間にあったモノを提供していくことを大切にしていきたいと感じます。
ある時は一人の園児が、先日の降園時にパパがお店でアイスを買ってくれなかった事を今朝も思い出して不機嫌になっているという事もありました。そんな時に、本物では無いですが色々な素材で一緒にアイスを作ろうと声を掛けると一変して笑顔を見せ、共に笑いあった時もありました。
このように自分が子どもにとってどんな出会いとなるか・きっかけとなるかと考えた時、一瞬一瞬を大切にし子どもの姿を見てそれを提供する事で笑顔が溢れる事に繋がるのだなと実感致しました。
そして、これらのドキュメンテーションを大事にしていきたいと思います。
育子園の造形ゾーンは無限です。
k☆Y
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