2013欧州で保育を学ぶ旅③
2013年06月21日 金曜日
ピストイアはイタリア共和国トスカーナ州北部の都市で人口≒9万人、ピストルの語源という説もある植木栽培やオルガン製造が有名な場所です。一般の観光客が立ち寄る地域ではありませんが、乳幼児の保育・教育の素晴らしさが近年注目されているのです。昨年はレッジョエミリアとピストアで学びましたが、今回はピストイアとボローニャを選択しました。宿泊する予定のホテルはピストイア大聖堂から徒歩2分だったのですが、旅行会社が出発前に予約確認連絡をしても無しのつぶて、結局ホテルは倒産していたのです。保育・教育に特化したツアーを401回企画してきた旅行会社も初めてのことだと言っていました。このあともどんなハプニングが起こるか、臨機応変に対応していきたいものです。
結果的には予約し直したホテルの方がミーティングルーム等も完備されていて設備も良かったようです。さっそく夕暮れの街に繰り出して、元ワインセラーだった地下室を改造したレストランで夕食をいただきながら、明日から始まる視察研修について語らいました。欧州の夕暮れは遅く、食事の時間もたっぷりゆったりしています、日本のように注文して○分以内に出てこないと…、という気分は全くないようです。
ピストイアは、人口が少なく面積も狭いので、親しみのある市です。共通の想い出を持ち、財政的にもかなり裕福であり、重要な社会生活を送ることができる伝統ある市です。こういった側面が子どもの福祉にとってプラスの要因であることは疑うことができません。家族のネットワークがしっかりしていて、これが子どもたちの日々の暮らしを支えているという事実を見れば、これは明かです。
しかしながらピストイアの生活の質は、教育サービスの幅広いネットワークによってもまた高められています。このサービスが家族の気配り(ケア)と一緒になって、子どもと大人の関係を促進し、質を高めているのです。市の社会的状況に見られるこれらの積極的な指標は、またサービスに対してわれわれが」積極的に投資した結果でもあります。市はこれまで、常に、子どもたちを最上位で優先してきました。最も小さな市民たちのために仕事をすることが、もっと大きな何かのために仕事をすることであると信じているからです。
なぜなら、子どもたちを通して、共同体の中で共に生活することにともなう多くの重要な問題、――例えば家族の役割、教育の選択、市の空間とかいった問題、――と向き合うことができるからです。市は時間をかけて、子どもたちとのかかわりを育成してきました。そして徐々に一連の戦略上選択肢を獲得しました。その着実な結果として、ピストイアは、幼年期の発展と政策の領域で現在行われている高レベルの調査の対象になったのです。この取り組みによってゆっくりとではありますが確実に前進し、市の運営に関わる行政組織は、特別の確信を持つことができるようになりました。
30年以上にわたる継続的な活動によって、子どもたちに対するこの教育プロジェクトは、家族と社会一般の共通の認識によって支えられ、一つの現実、それもますます拡大していく現実となっています。それ故に、将来の共通の道筋や過去の出来事間の関連に照らし合わせながら、歴史的な側面を重視することはとても重要なのです。さらには、この歴史的な道の発展段階を、記録しておくこともまた重要なのです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ