2013欧州で保育を学ぶ前旅⑧
2013年06月05日 水曜日
駅前広場の菩提樹の葉裏は燦々と降り注ぐ日差しにそよいでいます。乾いた心地よい風が吹き抜けるオスロの昼下がり、低層建物しか建築できない中央駅に広がるお大空は広く、濃く澄み切ったまさに快晴、勝手に『オスロブルー』と名付けたくなるような抜け渡る美しさです。
駅構内は日差しが柔らかく注ぎ込むサンルームのようなドーム型天井、欧州では多くの駅舎・ホームが同様の造りです。使用しなかったノルウェークローネをデンマーククローネに換金します。硬貨は換金できませんから旅の記念品、世界的にも希少な穴の開いた硬貨がノルウェーにもありました。穴の開いて硬貨といえば、昭和の一斉を風びした『銭形平次』の寛永通宝を思い出す方もいることでしょう。
テレビドラマの主題歌、「花のお江戸は 八百八町…」、岡っ引きの平次が悪人退治に出かける時には神棚に祈りを捧げ、妻が平次の背中に向かって切り火を切るシーンは、夫の無事を祈り、見守る、気持ちが引き締まる思いで見ていました。腰に携えた数十枚の寛永通宝を見事に悪人に投げつけ、十手で取り押さえる捕り物帳です。主人公の名前と通貨を投げて悪人を退治する妙案のきっかけになったのは、社名が「銭」を冠した建設会社で、法人本部の大聖堂を設計施工した深いご縁のある会社です。
さて、スウェーデンの西岸ヨーテボリに向かう列車は18番線から出発です。前にも記しましたが日本のように○○線は何番線と固定されていませんから、その時の掲示板で確認する方式です。オスロ駅舎の電光掲示板(この表現も今となってはレトロ感がありますが…)は今まで見た中で最高の解像度、まるでスマホのディスプレイを見ているような透明感と光沢感は特質モノです。
出発30分前でしたが始発の18番線には真紅の列車がすでに入線していました。さっそく車内に乗り込むと同時に癒されて感動を覚えました。空間は電球色照明に映えるモダンな木目とリラックスできる赤いシートでとういつされています。対極として、到着後数分で清掃整備を済ませ、青白い蛍光灯の高速運行も世界に誇る立派なものです、がしかし…。
こんなリラクゼーション極まる列車なのに、日本で購入しておいた鉄道チケットは区間乗車券だけでしたから駅員さんに尋ねると、全て自由席との返事。誰も居ない車内に陣取ったのは、日本では考えられない空間、3人掛け簡易コンパートメントのゾーンでした。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ