子どもに投資しない国は
2013年05月09日 木曜日
昨年の3党合意によって、子ども子育て関連3法によって子育てを総合的に進めることになっています。平成25年4月に国が「子ども子育て会議」を設置しますが、国が目指す基本理念がはっきり見えてきません。子育て中の家庭の中には単親家庭、経済的弱者、孤立家庭など困難な状況になっていて、虐待事案も増加する一方です。
出生率は1.39人に留まっていて、現在14歳以下の人口は1,684万人ですが、年々減り始め、2060年には792万人にまで減少します。出生率1.35人と想定した予測値ですからこれを下回ることもありえます。先進国の中でも特にドイツ、イタリア、日本、韓国が出生率が低く、フランス、スウェーデンは一旦減少しましたが、子育て支援をしっかり行ったので≒2人まで上昇しています。
日本は子育てに対する財政投資が対GDP比0.79%ですが、フランス、スウェーデンは≒3%です。日本の少子化原因として結婚行動の晩婚・非婚化が進み、夫婦出生力も低下し、地域で子どもを育てる風土が消えかかっているからです。特に地方では子ども集団が存在しない所もあるのです。一方、都市部では待機児童がいまだ解消できず、大きな課題になっています。横浜市のように増設・増員し、ほぼ解決できている地域もあるので各地域で出来るところから行いたいものです。
女性労働力者数のM字カーブが示すように、60%の女性が結婚と同時に離職するのも日本の特徴です。正規社員は60%が結婚していますが、非正規社員は30%しか結婚していません。妊娠中から3歳までの子どもを持っている母親は子育てしにくい項目として、地域社会が子育て世代に対して冷たい、周りから孤立しがち、育児の不安を相談する場所がない、などです。全国都道府県別の出生率は、東京が1.06人で最も低く、沖縄が1.66人で九州地方は全体的に高くなっています。
昨年、自・公・民で3党合意されましたが、3党が合意する法案は稀有なことで、それだけ子育てについての課題認識が高まっているのです。2017年施行予定で準備をしていますので、2年間で保育現場と行政と話し合うことが沢山あります。先進的な取り組みを行っている事例を参考にしながら、制度設計をしていく必要があります。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ