おむつをとる日は子どもが決める
2013年05月16日 木曜日
書家で詩人の相田みつをさんのことばを精神科医の佐々木正美さんがどう受け止めたかを紹介している『相田みつお いのちのことば 育てたように子は育つ』(小学館)という書籍があります。佐々木先生は杉並区の保育園関係者の研修会にも招聘したことのある先生で、温厚な先生の子育て論は見習っていきたいものです。後日、育子園の2階図書コーナーに置く予定です。
ページをめくるたびに、子どもがどのような気持ちで生きようとしているのか、かつて自分たちも幼いころがあったのにそれを忘れてしまっていることを痛感させられます。
たとえば、
「欠点まるがかえで信ずる」
という短い詩に対して佐々木先生は、「これは子どもを育てるために必要な最高の愛、最も自然な愛のある態度である。子どもが最も安心して成長していける親や教師や大人のありようである。子どもに最も大きな自信を与えることができる大人の姿である」とおっしゃっています。子どものことを信ずる、という念は目の前にいる時も遠く離れている時も時空を超えて信じ切っているということでしょう。大人がブレずに、絶対的に信じ切ることで子どもはのびのびと活き活きと自分の持ち味を発揮させることができるのです」、とおっしゃっています。
信ずる、信じ切るというのは何があっても無条件でということです。信じている側も心配事など発生しないのですから、子育てで心配事があるのは本当に信じ切っていないともいえるのでしょう。各保育園の1、2歳児保護者懇談会などで話題になる「トイレトレーニング」、3歳児クラスになるまでには全員完了させるなどという園もあるようですが、誕生日も違い、発達過程も違い、家庭生活環境も違う子どもたち全員に対して3月31日を目標設定にするのは理屈に合っていないことです。
年齢別一斉保育では、全員完了させることがその保育者の力量と評価され「力のある保育者」と勘違いされているのです。排泄は精神・膀胱筋力等の身体機能発達によってなし得られるものですから、「おむつがとれる日は大人が決めるのではなく、子ども自身が決める」ことになっているのです。ちなみに3歳児で入園する幼稚園児の多くがおむつをしたまま入園しています。大人が肩の力を抜いて、子どもが快・不快を感じられるように接し、うまくいったことを讃えてあげること、他の子どもと比べないこと、子どもをせかさないことが大切です。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ