売上げが落ちた原因は必ず社内にある
2013年05月07日 火曜日
カンブリア宮殿で、「高齢社」という一度聴いたら忘れられない会社名を取り上げていました。会長(創業者)上田研二さんはパーソンキン病を患いながら、いつも冗談を言いつつ、高齢者500人の人材派遣会社を経営しています。
男性が定年後に何もしない家でゴロゴロしていると、最初の半年ぐらいは我慢していた奥さんや家族から邪魔もの扱いされるようになります。ある人はやることがなくて1日5回も犬の散歩に出かけると犬からも嫌がられる始末、まだ働ける人材をいかに社会に戻らせるかを実現したのが高齢社です。
上田さんは高齢者を、“産業廃棄物”と冗談でたとえていますが、年金の支給開始年齢が引き上げられた人々、まだまだ働きたいという高齢者は多いのです。高齢社は500人の高齢登録者を抱える高齢者専門の人材派遣会社です。
就労率は≒50%、業界平均よりも非常に高く、業務内容は営業や運転助手、ショールーム受付、水泳のインストラクターなど100種類近くあります。雇う側にとってのメリットは、その道で長年経験したノウハウと、毎日が日曜日のような高齢者に、若者が嫌がる休日出勤をしてもらえるることです。さらには新人研修も必要ないのでコスト的にも有りがたいわけです。また、人生の先輩として若手社員に人生訓を教えてもらえる等、企業として使わない手はないというのです。
上田さんのモットーは、「社員を大切にする経営」で、その信念はかつて父親が失業し自分自身が苦労した経験があったからです。高卒で東京ガスに入り、検針員から理事職にまで上り詰めた上田さん、その実績を買われ業績不振の関連企業を再建した経験もあります。その会社でも上田は一人もリストラをしなかったという信念を貫きました。
高齢社では出社日を好きに設定でき、午後4時過ぎればオフィスの冷蔵庫に冷えているビールが飲み放題、経常利益の30%を期末手当などとして社員に分配しているという徹底ぶりです。長引く不況で高齢社の社員も継続雇用が難しく売り上げも減少しましたが上田さんは、「売上げが落ちた原因は必ず社内にある」と言い切り、周りの環境のせいには絶対にしない姿勢が、高齢社を次のステージに導くのでしょう。上田さんの一言一言はまさに今の時代を生きる金言です。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ