学生さんの目のつけどころ
2013年03月29日 金曜日
育子園には年間を通して実習生が来園します。将来保育者になりたい保育養成校の学生さん、看護専門学校実習生などです。保育者になりたい学生さんは保育園、幼稚園、児童養護施設などへ2週間連続で通います。児童養護施設は泊まり込みで実習するので実習を終えた後は家族と別れるような気持になるようです。
最近育子園に実習にいらっしゃた学生さんの保育実習の感想は、子どもを見守っていく大切さを実感した様子が述べられています。
「2週間の実習で一番の学びは、見守るという保育者の姿勢で成り立つ異年齢保育の良さを知ることができました。保育者は子どもを見守っているので言葉がけやかかわりが過度に行われません。子どもたちが考えて自分で行動する保育です。私はこのような保育は初めて体験したので、保育者の動きや言葉がけをよく観察して実践するようにしました。おもちゃを片付ける時間なのに片づけない子どもがいると、今までの自分だったら片づける時間だからと、言っていました。しかし育子園の保育者は違います、今は何の時間かな?と問いかけます。すると子どもは自分で考えて自分で片付け始めました。
ケンカが始まっても保育者はすぐには仲裁しません。まずは子ども同士のやり取りをよく観察していて、手が出そうになったりすると介入します。保育者が問題解決しても表面上のことであって、本当に子どもが納得してすっきりしたのか、子ども同士で解決する力を妨げることにもなります。異年齢保育では年齢に関係ない子ども同士で遊ぶ場面が数多くありました。発達の異なる子どもが一緒にいることで手伝ってあげたり、発達が促されたりしていました。こんな場面がありました、園庭のトランポリンで4歳児が遊んでいるところに1、2歳児がやってくると「小さい子が来たから小さくジャンプしようね」と気遣っていました。
この学生さんは発達の異なった子どもたちが一緒に過ごす保育環境を初めて体験されたようです。2週間という短い間に、そのメリットを感じ取っている様子が伝わってきました。保育者主導でない保育になっていくと、保育者が事前に用意した保育環境で子どもは自分で遊びを選択して遊び始めます。そうすると保育者が大声で子ども集団に対して支持する場面が少なくなってきます。自分の力で遊びこんでいるところに保育者が介入することは子どもにとって迷惑なことでしょう。保育者は援助を求めている子どもとかかわれるようになりますから、一対一の保育が可能になります。
子ども集団が動かないとか保育が回らないという保育者サイドの言い方がありますが、それは大人主体で子どもをコントロールしよう、予定通りの保育カリキュラムをこなそうとしているのでしょう。長年保育現場にいらっしゃる先生から日本の保育は「保育者は4月に髪ふり乱し、5月に変声期」と伺ったことがあります。このような保育を見直して世界標準の子ども主体・子ども中心の保育へ変えていきましょう。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ