窓の外を眺めながら
2013年02月14日 木曜日
歌手の森山良子さんが読売新聞の『私の先生』にメッセージを寄せています。
小学校4年から高校卒業まで東京都世田谷区にある成城学園で学んでいました。中でも印象的だった先生は初等学校担任の田沢与光先生で、今なおお付き合いされています。
先生は当時20歳代、秋田県出身で穏やかに話す、怖さを全く感じさせない先生でした。先生に怒られた記憶はありません。森山さんは授業中に窓の外を眺めながら、大好きな歌を考えたたり、人生って何なんだろうと考えていたそうです。そんな森山さんに対して先生は「良子ちゃんは外を見て何を考えているの?」といつも温かく見守ってくださいました。
決して「勉強しなさい」などと口うるさく言われたことは無かったそうです。「個性尊重」の成城学園の理念のもとで、教師も生徒も一人ひとりの個性を大切に保障されていました。2012年、同窓生が経営している東京青山のレストランで田沢先生が担任だった卒業生が、50年もの時を経て200人も集まったそうです。
1967年のデビュー曲「この広い野原いっぱい」がヒットし、その後も「涙そうそう」など世代を超えて歌い継がれている名曲が数多くあります。学生時代、窓の外を眺めていた森山さんへの先生の問いかけは、優しく相手に問いかけています。赤ちゃんは怒ることを知らずに生まれ、周りの人々が怒っているのを真似て覚えていくのだそうです。
出会った恩師が自分のことを否定せずに受け止めてくれた経験が、森山さんの個性・パーソナリティの芽を開花させる要因になっていったのでしょう。
育子園の子ども達も園庭で空を見上げ、飛行機雲や雲を動物に見たて想像力を膨らませています。私自身にとっても、毎朝登園していくる保護者と子どもたちを門の前でお迎えし、その日の空を眺められる時間は想いを馳せるための貴重な時間です。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ