3年目の黒帯
2013年02月21日 木曜日
現状に甘んじることなく、常に挑戦していくことは人間が本来持ち備えたものであり、それが人間の生きがいでもあります。ある柔道家の寓話を紹介します。
黒帯を与えられることになった柔道家が意気揚々と師範の前に立ちました。厳しい修行の末にようやく黒帯を与えられるのです。
ところが師匠は「もう一つ最後の試練がある」
「準備はできています」、柔道家はもう一回試合をするのだと思いました。
「大切な質問に答えてもらおう、黒帯の本当の意味は何か」
「旅の終わりです。これまでの厳しい修行に対する当然の褒章です」
師範は押し黙り、しばらくたってこう言いました。
「まだ黒帯は与えられない、一年後に来なさい」
その言葉のとおり一年後、武道家は再び師範の前にひざまずきました。
「黒帯の意味は何か」
「武道を卓越した技を持ち、頂点に達したことを示すものです」
師範は続く言葉を待ちましたが、言葉が内とわかると、
「一年後に来なさい」
一年経ち、武道家は再度師範のもとへ、師範は同じ質問を繰り返しました。
「黒帯の意味は何か」
武道家は「黒帯は出発点です。常に高い目標を目指し、終わりなく続く修行と稽古の旅の出発点です」
柔道家本人が気づくまで見守り続けた師範の「待つ」という姿勢と、2年の歳月と修行が武道家を悟りの境地に導いたのでしょう。一日一日が新たな出発の日、生かしていただいている限り、コツコツと…。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ