4月に髪振り乱し、5月に変声期
2012年12月26日 水曜日
白梅学園大学で行われた「これからの保育制度と子どもの生活を考える」セミナー、埼玉県の幼保連携型認定こども園の実践発表では、保育理念は子ども主体の保育を大切にして、大人は子どものモデルになることです。
異年齢の育ちあいが大切で、させる保育から子ども自らしてみたくなる保育を行っています。園内は大人もホッとできる雰囲気、センスある環境づくりを模索しています。保育施設という概念ではない場所にしていくためには保育者の品格とセンスがポイントです。
園庭も運動会のできる園庭から自然観を育てる緑の庭へ大改造しました。
給食の時間という言い方をランチタイムにして、食べさせるとか与えるという考えをやめました。保護者ボランティアや一日保育士体験、さらには小学校教諭にも保育士体験をしてもらっています。
無藤教授を交えたディスカッションでは、待機児童を無くさなければいけないが、保育園を造る分だけ希望者が増えるのです。全国待機児童数は正確なものではなく、潜在待機児童20~80万人とされ認可保育園を増やすだけでは対応できない状況です。新システムが実現されたら稚園が先に認定こども園化され認証保育所を認可施設にすることで国からの補助金を加算することも想定しています。
さらに地域型保育、小規模保育所、家庭的保育を充実させていく方向ですが、各市区町村が2014年度までにその地域の保育ニーズを把握した上でどの保育施策をたてていきます。
とはいえ都心部の土地・建物手配と建設は難しく、将来の少子化に対する存続不安もある中でどのように解決していくのか先は見えません。
今後は幼保連携型認定こども園が中心になるので、地域のすべての子どもが通える園になります。東京のように多数の幼稚園、保育園がある場所は特殊で、全国的には幼保連携型認定こども園しかない地域が増えていくでしょう。
ただし3歳以上のみの認定こども園になるのか、2歳児以下を預かるのかによって給食調理等の施設設備への投資が大きく違ってきます。たとえば同施設内で3歳児以下を認可外保育園として運営するという方法もあるでしょう。現檀家では保育園が認定こども園になるメリット、理由がハッキリしていません。保育園が認定こども園になる可能性があるのは過疎化地域です。
職員研修には幼稚園教諭と保育士に対する研修義務に差があります、幼稚園は設置者に積極的教育義務がありますが、長時間保育を行っている保育園には職員教育時間の保障しずらい課題があります。
認定こども園になれば、建物等減価償却費も加算されますから、私立保育園は自腹で建物建設できるように付加給付されます。保育料の保護者負担基準も変わり、保育料は応能負担になり、公私幼稚園の保育料格差も是正していいきます。認定こども園になる幼稚園の預かり保育は給付が増えます。
幼保連携型認定こども園に勤務する職員は保育教諭と呼ばれ、幼稚園教諭でかつ保育士資格が必須になりますが、経過措置として5年間はどちらか持っていればよく5年以内に両方の免許取得ができるような制度ができます。幼稚園から認定こども園になる園は、職員研修の時間が無くなるので工夫が必要になります、認定こども園はローテーション勤務なので話し合いの時間が保障されません。これは保育園の職員研修時間を保障されていない現状も同様で、研修を充実させるために消費税から1兆億円投入し、研修で席を外す時の代替保育者の保障を行います。
認定こども園の外部評価をどのようにで行っていくか、短時間保育と長時間保育の子ども集団の成り立ちの不安もあります。病児保育が良いことではない、保護者が休めるようにすることが重要です。
保育業界では「4月に髪振り乱し、5月に変声期」という言葉があるほど子どもを抑えつける保育でよいのでしょうか、と発題されました。
保育は誰のためにあるのか、誰の欲求を満たすためにあるのかを自問すると、髪が降り乱れたり、変声期は起こらないはずです。このように、子ども中心・子ども主体保育に共通する理念と実践は、大きなうねりとなって日本の保育を変革していくのだと感じました。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ