長時間保育を考える
2012年12月20日 木曜日
保育セミナー「いま 保育に問われていること 新しい時代を展望し、どの子も育つ保育を考える」に参加しました。白梅学園大学の汐見学長の講演会では、
バングラディシュの子どもたち皆が学校に通うようになり農業を学んでいくと、やがて農薬を使う農業になっていくのではないでしょうか。それを現地の人々が望んでいるのでしょうか。ダッカには60万人のストリートチルドレンがいますが、子どもを集めて手仕事をさせているグループがありますが、そこで働いている少女に聴いてみると、親に捨てられ自分の名前も知らないのですが、活き活きと働いているのです。その子どもたちに学校が本当に必要なのでしょうか。
日本は近代国家になるべく英国に次ぎ1972年に富国強兵を進めてきました。文化国家を選ばずに、産業革命によって農業から工業へと大転換させていきました。当時のアメリカは日本を社会主義国だとみていました。後発国は政府主導・トップダウン方式で国を作ろうとします。産業資本家による産業を豊かにしていく国家施策になっていったのです。
現代日本の就業スタイルの中でも最も独特の制度があります。それは「単親赴任」です。先進国ではそんなことを慢性的に当たり前のように行っている国はありません。一企業にその家庭を崩壊させる権利はないのです。扶養手当なども日本独特で、男性は働いて女性は家庭に居るという社会環境から生まれてきたものです。高度成長期の松下、現パナソニックでは旦那が安心して働けるために女房を働かせないために手当を出したのです。
通勤手当も日本的な不思議な手当です。たとえばドイツは従業員は自治体に申告し認められたら手当を自治体からもらえます。ドイツでは土地は自治体のもので、家を建てるのには住民が申告するのです。ドイツは土地と空気は公共物だと考えています。
このように日本は世界とずいぶん違った道を歩んできました。遅れを取り戻すために産業国家を目指してきました。企業のために働かせる風土が出来上がってしまったのです。単身赴任を断ると首にされる特殊な国なのです。
仕事を終えた後の過ごし方も日本は特殊です。チェコでは15時ごろには帰宅し、フランス、ドイツも17時ごろです。アフター5は家庭で食事を作り食して、様々なことをしてと楽しみます。東京のように最終電車が超満員という国は世界には見当たりません。夜中まで働いている国はありません。世界で一番長時間労働をしている国は日本と韓国ぐらいです。
欧州は身分制度を残し、庶民に教育の場を与えませんでした。日本は庶民にも教育を受けられる制度を造り、教育を競争させました。そして受験戦争になり点数で人間を評価する国になっていきました。韓国は日本を追い抜くために、高卒と大卒の給与を2倍にし、98%が大卒です。センターテストは韓国方式を日本が取り入れのです。韓国では受験関連の自殺者まで出ているのです。(文責:園長)
欧米に追いつき追い越せと進めてきた施策が行き先を見失い、方向転換ができないでいる中で、日本の特殊性が浮き彫りになってきました。日本保育の特殊性として子どもは未熟な存在だから大人が教える、させる、やってあげるという根強いスタイルが問われているのです。相手が何を望んでいるのかを見極めること、たとえそれが自分の価値基準では理解しにくいことだとしても、その場面においては相手にとって何よりも重要なことなのですから、保育者はどうすることがベストなのか見えてきます。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ