待機児童数が不明
2012年12月14日 金曜日
杉並区私立保育園連盟主催の学習会を開きました。今回は帝京大学教授を招いて「子ども子育て関連法の今後」について学びました。
今後想定される新しい保育システムでは、保育料には給食費分は入っていませんから、オプション別料金を設定して、保護者から徴収することも想定されています。学校で大問題になっている給食費が払えない保護者のために、子どもが給食を食べれない事例が保育園でも発生する可能性もあります。そういう子どもに対して給食を提供しないわけにはいきませんから、細切れ保育ではなく8時間保育で給食費込の保育料設定にしていく声をあげていくことです。
今回どうにか児童福祉法第24条の1項が残ったのは九州、山口、北海道などの保育園長会が大きなうねりとなる運動を起こして国を動かしたからです。これにより入園選定も市区町村がこれまで通り行い制度が残りました。市区町村が保護者から保育料を徴収し、園に委託費として入金されます。幼稚園はこれまで保護者が園と直接取引でしたが、今後は幼稚園に入るために市区町村に申請に行くことになることも考えられます。
私学助成は国と都道府県が折半していますが、給付は都道府県は25%で済むので多くの幼稚園は認定こども園に移ることになり、いずれ保育園もそうなるでしょう。国は認定こども園に対する補助金を増額して移行を促進するでしょう。問題が多い介護保険と同じようなシステムに保育界が陥らないように保育業界は声を大にしていくことが重要です。
実は現在も国、都道府県、市区町村は正確な待機児童数を把握していません、たとえば認可保育園に入園したくてもできずに、その他の保育園に通っている場合はカウントしていません。現在は市区町村に待機児童が50人以上いる場合は保育園整備義務が課せられていますが、新法では努力義務になり、保育園建設補助金(減価償却分加算案)も廃止され、新規園建設や老朽化建物の改修工事費用ねん出が深刻化する可能性があります。
心配なのは待機児童の正確な数を市区町村はカウントしなくなるのではないかという点です。本当の受給バランスが把握できないのですから、問題解消できないのです。さらには保育は親の責任となっていくと待機児童という用語そのものが無くなる可能性があります。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ