国立児童館「こどもの城」を閉館?
2012年12月18日 火曜日
杉並区私立保育園連盟主催の学習会を開きました。「子ども子育て関連法の今後」と題して、異例の3党合意という国会のルール外で成立した関連法、未だ表には出てこない今後の方向性と変更内容など、保育界にとって先の見えない状況です。
小泉政権時に準保護世帯の就学援助金を無くし、児童手当の管轄が厚労省から内閣府へ変わりました。市区町村によって有る無しがバラバラになってしまいました。なかなか解決出来ない待機児童問題は、就学助成金等と関連し子どもの貧困に繋がっています。子どものために作られた、国際児童年記念の渋谷区にある国立児童館「こどもの城」を閉館しようとしているのは大きな問題で、このままでいくと2014年3月に閉館予定です。さらには全国100カ所の民間児童館への補助金がいつの間にか廃止されました。
チルドレンファーストという世界の潮流に反して日本はどこへ向かおうとしているのでしょうか。政府は保育園の昼寝用布団は不要だと考えているようです。その理由は認可保育園設置基準の子ども一人あたりの面積が狭くて済むからだというのです。そのうえ園庭があってもそんなに使っていない園があるので、園庭をなくして公園だけでいいのだとも政府は考えているようです。これも保育環境の質の低下を招く非常に大切な項目ですから、国民議論の場にあげていく活動が不可欠です。
保育料の自己負担のOECD平均は20%負担ですが、日本の3歳児以上は50%に達しています。地方自治体によっては、さらに保育料を一部値上げしようという動きもあるようですが。一方、保育者の処遇・賃金等労働条件は低いままですから改善を国は早急に行うべきです。長時間労働、正規保育者ほどは休憩や有休が取得しづらく、年収300万円以下の保育者が70%(幼保公私立保育者)です。保育業界に企業参入をしやすいように国は制度設計をしようとしています。企業だから問題だという議論ではなく、保育理念、保育内容、社会貢献性など中身を吟味する必要があります。
国が現段階で考えている新制度は、保護者は保育の必要性があることを市区町村に申請します。市区町村は保育時間と保育料を査定して、認定書を発行します。1月あたり利用できる保育時間が明示されていますが、それを超えると保育料を追加徴収されるので保護者は時間単位で保育園を利用することを想定しています。たとえば午後の4時間だけの利用者、夜4時間だけ、朝4時間だけなどという、子どもの都合ではなく保護者都合になる可能性があるのです。こうなっては保育が分断される保育の連続性が保障できず、認可保育園は単なる「預り所」になってしまう危険性が大です。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ