子どもの生活は家庭が基盤
2012年12月10日 月曜日
小学校入学時の学校不適応児童が増加している最大原因は、人と人との関わりが不得手だという基本的な力が不足している場合が多いのです。学力が云々という前に、子ども同士・子どもと大人間の他者理解コミュニケーション能力の発達を促がすことの方が先決です。
人と人との間でどうやって自分らしく生きていくかが社会生活を営む上で大切なことですから、特に幼稚園、保育園などにおける子ども社会の中で、自分を表現し相手を受容する力は大人の真似をしながら、子ども自身が身につけていくものです。いつまでも大人が代弁者でいることが、子ども自身の自己解決能力を阻害している最大原因ですから、大人は子ども同士の様々なトラブルを見守り、どうやって折り合いをつけようとしているのか、その過程を大切に観察していくことです。
幼稚園、保育園は子ども集団が存在することに意味があります。子どもは自我の目覚めと共に園で過ごす中で毎日のように楽しいこと、嬉しこと、そして最も大切なトラブルが発生します。卒園するまでには何百、何千回も子ども同士が自己主張をしつつも相手の気持ちを解ろうと努力し、そして折り合いのつけ方を学べるチャンスに恵まれているのです。トラブルが発生したらすぐに大人が介入して行司役をすることは、園の存在意義を園自ら摘んでいることになります。トラブルの中にこそ、子どもが大きく成長できる妙薬があるのです。
子どもの生活は家庭が全ての基盤ですから、家族との信頼関係を確立できているかが乳幼児の心と身体の発達に与える影響は計り知れません。家庭はゆるぎない親子の愛情で結ばれ、家族との触れ合いや共同の場で子どもの気持ちをしっかり受け止めてあげることを繰り返しながら、子育てと親育ちが伝承されていきます。
さらには人生経験豊かな年長者と接する仕組みをつくること、子どもの発達過程や学びの連続性豊かな遊びを提供して、子ども自身の生きる基礎力を引き出す取り組みを地域全体で展開できるように思考しています。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ