佼成育子園[こうせいいくじえん]-東京都杉並区

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園のこだわり

「見守る保育」関東研修会⑤

2012年11月30日 金曜日

子ども主体・子ども中心の「見守る保育」の、ギビングツリー関東研修会に参加しました。講演会で藤森先生は、せいがの森保育園で働いている文字LDの職員について、文字LDは一般的な就学時健診でも判断されず入学することがほとんどです。読むことが苦手というLDだけなのに、周囲の人は成績が悪い子どもと勘違いしがちです。読むのが苦手だからテスト問題も時間内に解けないだけなのに、理解していな子どもになってしまうのです。たとえば欧州では運転免許試験で、文字LDの人には制限時間を長めに設定している国もあるのです。

 

彼は保育士になりたいという夢を持っていたので、せいがの森で保育体験しました。その日体験した内容を家に帰って彼が語り、親が代筆して記録しました。その時の日誌内容は今でも忘れられません。

「僕は園で過ごしていると疲れない、子どもと居るのはとても自然なことだから」

「今日は嬉しいことがあった、給食の時間に一生懸命真剣に食べようとしている2歳児を見て、自分も一生懸命に生きることが大切だと学んだ」

「僕は文字を読むのが苦手だから、幼い子どもが理解できる速さになる。それが子どもにとって丁度いい速さなのだと解って嬉しかった」

「園内の教材倉庫で子どもの使う教材を用意する作業を長時間したが、自分が準備している教材を子どもが使ってくれると思うと、目の前に子どもが居なくても作業は楽しく嬉しい時間だった…」

という内容です。

 

子どもといることが自然だと感じ、子どもの自然な姿に共感する、子どもを変えようとしないのでこちらが楽になるのです。いまだに「見守る」を誤解する人が多く、看護師は患者を見守る職業で、看護師は患者が自ら治ろうとする力を与える仕事、最終的に治すのは本人の力なのですから保育も同じです。子どもは生まれたときから成長する力を持っている、そこを大人が信じ切っていくことです。

 

P1060248子ども自ら発するものを育むことを「発育」という言葉で福沢諭吉はあらわしましたが、後で役人が「教育」という言葉に変えてしまったのです。子どものままでいていい権利、母親の権利は仕事を切り上げて熱が出た子どもに合えるようにできる権利、仕事があって迎えに来れないのは仕事人の権利であり、母親の権利ではありません。

 

人間は授乳が終わると生理が始まり妊娠できる準備が整います。親にしがみつくために赤ちゃんは手を握る、翌年に次の子どもが生まれる可能性がある、豚の生贄をささげた字が家という漢字、異年齢で共食し自己を確立し、複数家族で育てることができていたので家庭保育が成り立っていたが、現在は母子の2者関係になってしまっているので人工的にその環境を作るしかないので保育園などが必要なのです。3歳までは家庭で育てることが大切だと言われていた時代と特に都市部の状況は様変わりしているのです。(文責:園長)

 

八王子にある、せいがの森保育園は藤森園長先生が新宿せいがにいらっしゃる前に園長をなさっていた保育園です。7年前に杉並区公私立園長会で初めて、せいがの森保育園を見学し「目からウロコ」でした。その時、自分の中で育子園でも見守る保育を導入することを決めていたのです。見守るという考え方は実に仏教的なモノの見方、実践スタイルなのです。

文字LDの保育者のお話は、今この瞬間に自分が居る場所や環境がどんな状態であろうと「幸せを見つけて感じられる」、最も幸せな生き方です。青い鳥は遠くに探しに行くものではないようです。

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「見守る保育」関東研修会④

2012年11月29日 木曜日

子ども主体・子ども中心の「見守る保育」の、ギビングツリー関東研修会に参加しました。講演会で藤森先生は、臥龍塾という男性職員6人で勉強会をしています。通う会を火曜日にしています。夏目漱石は高田馬場で生まれ死んだのですが、漱石の木曜会をもじって火曜会という名前にしました。

 

チャップリンのモダンタイムズを見て、無声映画の良さは全世界の人が一緒に笑える、初めての有声映画がチャップリンのモダンタイムズで、声を出した。保育の中の声とはどういうことなのか、独裁者という映画、床屋さんとヒットラー2役、言葉は内容ではなく雰囲気、街の灯という映画、見えるとこととはどういうことなのでしょう。

 

たとえば働きアリの例ですが、働きアリの80%は本当によく働いていますが、20%はサボっているのです。その中からよく働くアリだけを取り出してみると、その中でも80%だけが働き20%がサボるようになるのです。この話を職員にしたら、20%は誰だろうと言ったので、私は一人ひとりの中に80%一生懸命働くことと、残りの20%は遊び心としてとっておくが大切だと話しました。遊び心とは、決してふざけることではなく、楽しむこととです。はしゃぐことではありません。

 

P1060230保育を職業としている人は、仕事が終わった後に何かをして楽しむではなく保育の中に面白さを見つけること、子どもといることは本当に楽しいことということを見つけることが大切ではないでしょうか。今の日本は遊び心とか仕事を楽しむことを忘れているようで、目いっぱいやっているように見えます。たとえば女性はまじめで賢い存在ですが、幼形成(人類は赤ちゃんぽさを残すことで人類を存続してきている)、を最も備えているのは黄色人種で、黄色人種の中でも男性が赤ちゃんぽいので、その幼さで人類を救うのではないでしょうか。

 

障害児も一つの違いを持った人、社会に必要な人という見方を保育者がしているか、障害児からすれば、保育者の号令で皆一斉に集合するということが不思議なのかもしれません。先進国では男女、障害、年齢、年齢によってわけることは差別なのでドイツは異年齢保育を行っているのです。欧州の企業では実力によって昇進が違いますが、定年は一斉はおかしいのではないか、仕事ができなくなったらやめるのが良いのではないか、年齢で人を判断するのをよそうとしている、幼いころからそれをしていくために個人差として受けるために異年齢保育が不可欠だと考えているのです。

 

一人ひとりが、心地よく伸び伸びと過ごせる環境が人には必要で、人生は楽しむためにあるのだと思います。保育を楽しく考えられる環境に変えていくことが良いと思います。(文責:園長)

 

働きアリの事例は、自分の中にある「遊び心」、「余裕」の大切さを改めて教えられました。人生は楽しむためにある、その楽しみを自分が今居るその中に見つけられる人は、どこでもいつでも遊び心を満喫できる幸せな人なのでしょう。

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「見守る保育」関東研修会③

2012年11月28日 水曜日

子ども主体・子ども中心の「見守る保育」の、ギビングツリー関東研修会に参加しました。今回は埼玉県で行われ≒200人の保育者が参集し、藤森先生の講演会を中心に2日間学び合いました。今回のメインテーマは「楽しい力場づくり」です。新宿せいが保育園の藤森園長先生と3人の職員の報告続編です。

 

園長という立場は、自分がやりたいことを直接言わないこと、職員がやりづらくなる、論理的に判断し、職員の考えに共感することです。新宿せいが保育園では年間テーマと月毎テーマがあります。今年の年間テーマは森で遊ぼう、たとえばテーマに沿って誕生会を行っています。

 

P1060400以前ホテルで調理をしていた経験があり、今は新宿せいがで調理をしている方がいます。ホテルはトップダウン式、調理場から客席が見えない、厳しい仕事でやめて一年半フリーターをしていて縁あって新宿せいがで働いています。最初は保育園で調理をしているとはプライドがあって友人に言えなかったのですが、今は毎日楽しく働いています。友人からもおまえは最近変わってきたと言われるのが嬉しいです。

 

調理職員も保育室で一緒に食事をすることで、喜んでもらったり、まずいと言われたり、へこんだりしながら、やる気が湧いてきます。先日のハロウィン給食ではアバターに扮して登場し、そのままの格好でランチルームで食事をしました。

出張先の藤森先生には私が毎日の園の出来事をメールで報告をしています。保育士が報告するのが一番手間がかからないのですが、あえて調理職員がやることで保育園全体の取材をしてその日のことを知ることができます。時には0歳児保育室で子どもにミルクをあげることもあります。

人と一緒に食事をする、「共食」が大切だと藤森先生から教えてもらっています。1歳から5歳まで一緒に食べる、仮装をしてハロウィン、大人が楽しくことで子どもも楽しいのです。(文責:園長)

 

新宿せいが保育園の職員3人が園の様子を報告している姿は、やらされている感を感じさせない、楽しい職場の様子を皆に伝えたいという気持ちがにじみ出ていました。いじられやすいお局さん、数多くの部活動、調理と保育現場の風通しを良くする取り組みなど、一人ひとりの持ち味が発揮されていて、楽しい職場づくりのヒントを沢山できました。

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「見守る保育」関東研修会②

2012年11月27日 火曜日

子ども主体・子ども中心の「見守る保育」の、ギビングツリー関東研修会に参加しました。今回のメインテーマは「楽しい力場づくり」です。新宿せいが保育園の藤森園長先生と3人の職員が登壇しテーマについて報告と提案の続編です。

 

新宿せいが保育園に見学にいらっしゃる方々から行事は大変ではないですかと聞かれますが、精神的負担はありません。行事担当は立候補で決めていますからやりたいと思うことが実現できるので楽しいのでしょう。遊び心満載のみんながビックリする驚く行事を立案しています。行事前も残業無しで、子どもたちに手伝ってもらうこともありますし、全職員が年齢の壁をなくして準備をしています。

 

会議はどうしているのかというと、月1回だけやっています。会議は楽しい時間だと思っていますから、重たい会議はありません。研修は、研修係が立案しています。自主参加で、内容は職員が分担しています。たとえば離乳食を皆で作って食べてみる研修会などもやっています。参加すると楽しいことがある、そのうえ学べることがあるとみんな参加してくれるようになります。

 

楽しいというのは、安心して働けることだと思います。時間に追われないこと、自分を必要とされ信じてもらえていると感じられることです。人それぞれ感じ方は違いますが、周りの人がフォローしていくことです。一人ひとりの安心を皆が理解して認めていくことだと思います。

職場内の部活も盛んで、軽音部、ブラスバンド部、ビリー部、マラソン部、歴史部(ブラヘイジ)、スノーボード部、アトラクション部、カラオケ部、ケーキ部、漫画部、パスタパーティー、などさまざまな活動を自発的に行っています。園にあるせいがのメダカ池に地域の人が無料みずくさを提供するコーナーを作ったり、父親だけで保育をする日、保護者が主催の掃除会、地域のお祭には職員が神輿を担ぎます。

 

各保育園の悩みが多いのは、園長と職員の理解不足、園長と現場の距離間、職員が話をしているとき藤森先生は聞き役に徹しています。理念に基づいて保育が安心してできる、職員が考えたことを盛り上げていくれる、責任は園長が持つというドッシリ感があるので安心して仕事ができるのです。(文責:園長)

 

人が楽しいと感じのは、自分が興味のあることや得意なことができること、自分の個性をそのまま表現できることでしょう。自分が楽しいことと他者が楽しいことは違うことなど、誰一人として自分と100%同じ考え方の人は存在しないことを沢山体感していくと、自分一人の偏ったものの見方に気づき、周りの人々の考え方も聞いてみよう、参考にして良いものは取り入れていこうというレベルアップが自然にできる職場になっていきます。

 

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「見守る保育」関東研修会①

2012年11月26日 月曜日

P1060402[1]子ども主体・子ども中心の「見守る保育」の、ギビングツリー関東研修会に参加しました。今回は埼玉県で行われ≒200人の保育者が参集し、藤森先生の講演会を中心に2日間学び合いました。

 

今回のメインテーマは「楽しい力場づくり」です。新宿せいが保育園の藤森園長先生と3人の職員が登壇しテーマについて報告と提案をしました。一般的な話として、保育園で子どもと過ごすのは楽しいけど、職員間がぎくしゃくして楽しくない、たとえば、見守る保育を導入して保育改善をしたいと思う園長がいても、障壁になるのは職員です。逆に職員がやりたいと提案しても反対するのは園長という園が多いようです。

 

それを打破するために、2人で話し合ってアイディアを出し合うと、理由をつけて相手が否定するのです。次は肯定してアイディアを足していく、どうなっかというと、否定されるとやらない足していくと良いアイディアがどんどん湧いてきます。

 

専門性は人から出たアイディアを専門性で実現することです。子どもを否定するのは簡単ですが、理由があってやっていることなので、出たくなることを保障してあげることです。部屋の中に廊下を作ったどうかということです。園長は職員が言ってきたことを実現するようにしてあげること。

 

楽しくない園の一つは昔ながらのお局さんがいる園です。それから書類が多い、会議、研修、行事が楽しくない、新人保育者は相手にされないようです。

新宿せいが保育園には勤続16年の「近代的な」お局さんがいます。新宿せいがに見学に訪れた方々は、楽しそうな職場ですねと言います。たとえば会議という形式的なものではなく、仕事後にお茶を飲みながら情報交換し良いアイディアが沢山出ています。職員同士が仲が良くチーム保育ができている秘訣です。

 

では「現代風」の良いお局さんとは、周りの職員から面白くいじれる人物なのかだそうです。近づきにくい先輩は嫌がられる、そういう先輩が多い園では主任やリーダーがいないことが職員各々が個性を発揮できるようです。職員同士が認めていけること、受け止めてあげることです。

苦手なことは得意な人に頼んでやってもらうことも大切です。謙虚でなければ人に頼むことはできませんから、先輩後輩の差を払しょくして頭をさげられるか、素直になれるかです。先輩職員が最近の若い人は見守る保育をやっていないという言い方を人がいますが、見守るに正解は無いのではないか、その人が他者を理解していないだけではないかと思います。園長に見守られ、先輩に見守られる環境があるから安心して保育ができるのです。(文責:園長)

 

新宿せいが保育園の居心地の良さを改めて確認できる実践報告でした。お局さんは忘れ物の名人で、今回の研修に出かける時も原稿を忘れないようにと、お局さんのロッカーに「原稿は持ちましたか?」、靴箱にも、玄関扉にも記してあったそうです。後輩職員からこのように「いじられ」やすい人柄が、職場の潤滑油になっているのでしょう。

 

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クラス王国ってどんな国

2012年11月22日 木曜日

P1000193子ども主体・子ども中心の「見守る保育」を実践している保育園のオープン保育に参加してきました。東京周辺の地域活動として1回目を育子園で行い、2回目が世田谷区の「さくらしんまち保育園」、今回で3回目になります。

 

会場は世田谷区用賀にある開園15年目を迎えた保育園です。

ここでは子ども自ら育とうとする力を信じて、子どもが主体となる保育を実践します。
園の周辺道路は桜並木が美しく住環境の良い用賀にあります。 3歳児・4歳児・5歳児が一緒に過ごす編成で、自然な異年齢交流を通して人間関係の基礎を育てています。充実した給食と野菜を育て、収穫して食べる等食育にも力を入れています。
0歳保育は産休明けから、延長保育・緊急一時保育も実施しています。働く父母を支援し、子育ての楽しさを共感しあえる保育園です。

 

前身は、桜新町商店街が立ち上げた園で、商店街の子ども達が通っていた社団法人経営の保育園でした。建物の老朽化等で廃園することになりましたが、職員と保護者と支援者が世田谷区と東京都に働きかけて現在の場所に移転し、平成10年に社会福祉法人立の保育園をみんなの力で作り上げたのだそうです。

 

100人定員で0歳児保育も開始し、以前と同じように年齢別一斉保育をしていましたが、日本特有の年齢別一斉保育が子どもにとって本当に良い保育方法なのか、大人主導でやっていてよいのという疑問が保育者の中で、だんだんと大きくなっていきました。

 

いわゆる日本式の年齢別一斉保育は「クラス王国」と呼ばれ、自分の国(クラス)を守るために保育者は子ども全員に○○ができるように「させる」ことが必須要件です。国からはみ出す子どもは困った子ども、国をまとめられない保育者は力量不足と判断されます。運動会や発表会なども他に負けないように頑張らせることが使命で、子どもの気持ちは二の次になってしまいます。

4月に進級するまでに全員の子どもに同じレベルに仕上げ、力をつけさせることが保育者の使命です。進級先の担任は子どもの「力」がそこまで達していなければ、前年の担任のせいにするのだそうです。

 

このような大人主導の保育に対する疑問を晴らしてくれたのが「見守る保育」の主宰者、藤森先生です。同じ職場で子どもの発達を促すために縁あって働いている職員同士は、競い合うよりも「学び合う」関係になっていくこと、そうなっていくと子ども一人ひとりが居心地が良い園になっていくのです。

いずれにしても、まず大人が変わる勇気をだすことです。

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小学生時代の教科書と再会

2012年11月21日 水曜日

P1060422杉並区特別支援教育課では教育相談活動を行っています。小中学校での不適応、不登校、養育できない保護者や家庭の課題などに対して、臨床心理士が親と子ども別々にカウンセリングを行っています。心理検査や遊びの中で子どもの様子を観察し適切な支援を立案しています。杉並区ではスクールカウンセラーを区内の公立小中学校に派遣しています。さらに東京都のスクールカウンセラーが区内に20人も派遣されています。年々増加する子どもたちの悩み相談、保護者の養育相談など、担当教師だけでは対応しきれないのが現状です。

 

不登校の子どもを対象とした「さざんかステップアップ教室」を開いています。学齢期発達支援事業は小学校1年にうまくなじめないこどもや母子分離ができない事例、高学年では受験失敗による失踪感など、匿名での電話相談も受付け相談件数は毎年増えています。個別対応が必要な場合は就学相談員が幼稚園、保育園に派遣されることもあります。

 

杉並区子ども発達センターに通っている子どもを持つ保護者は就学に向けての悩みを抱えています。平成19年から知的発達の遅れが無い子どもでも、集団生活不適応や発達のかたよりがある子どもの支援を行っています。杉並区内には特別支援学校「済美養護学校(知的障害が中度・重度の子ども」が1校、特別支援学級(知的障害が比較的軽度な子ども)のある小学校が7校、言語障害学級、情緒障害学級(情緒面でつまずきのある子ども)もあります。

 

幼保小連携の一層の推進として3者合同研修会を継続的に行っていきます。地域の小学校が核となって連絡会などを開いて、職員同士が顔見知りになることから始めていく予定です。公私立保育園共同研修、就学前教育研修、保育者間の連携強化、センターと園との情報共有を今後も密にしていきたいと思います。

 

P1060426センター内には教育図書室があり、各学校の学校だよりもちゃんと保管されています。なかでも昭和20年代から現在までの教科書が保管されていて、閲覧できるのです。昭和の時代、自分が通っていたころの国語の教科書を手にとってめくってみると、文章と写真の古めかしさに驚きました。他の園長先生方もそれぞれの年代の教科書を探して、懐かしがっていました。

今でもはっきり記憶しているのは、小学校の国語の教科書に載っていた『ちちとぴぴのりょこう』です。「ちちとぴぴはつぐみのきょうだいです…」から始まる旅行記の出だしを数十年経っても暗記しています。この図書室は夕方まで開館しているそうなので、今度ゆっくりと訪問して、当時の小学校1年から順番に学年をおって当時を回想しながらページをめくってみようと思っています。

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今井政吉先生の遺志を継いで

2012年11月20日 火曜日

P1060432今年度の杉並区内公私立保育園園長会の視察研修は、杉並区立済美教育センターを訪問しました。センターの玄関では公立保育園の園長を退任された先生が出迎えてくださって久々の再開となりました。

 

センターでは杉並区内の各学校(園)の実情を踏まえたカスタムメイド型支援を充実しています。センターは教育委員会の出先機関、教育研究所の役割も兼ね備え教職員の研修所とても活用されています。さらに指導行政機関の機能も備えていますから、各学校(園)に教育・支援も行っています。

 

センターが建設されている場所は、昭和25年に今井政吉先生が杉並区に土地や施設等の財産を寄贈されたことが起源です。その教育理念は、済美小学校、大宮中学校、済美教育センター、済美養護学校などの教育施設として現在に受け継がれているそうです。済美小学校では毎年、感謝の意を込めて、今井先生のご命日(6月1日)には敷地内にある今井先生の胸像に、子どもたちや地域の方が身近な花を持ち寄り献花式を行っています。元への感謝を忘れないこの行事は、これからも継承されていくことでしょう。

 

昭和26年に設立されたセンター内には、教育図書館、面談室、パソコン研修室、研究室、相談室などを備えています。敷地面積≒6,600㎡で、数多くの大きな木立の中に建物が佇んでいる空間は敷地内に立ち寄るだけでほっとします。

業務内容は就学前教育担当、小中一貫教育担当、教育SAT(スクールアシスト)、さらに特別支援教育課があります。学校の教育課程(年間教育計画)の適正管理、教科書採択を取り扱う機能や学校教育、保育の質の向上を目指して関わっています。

 

杉並区では子どもたちに自信を持って人生を切り開く力を育むことを大切にしています。杉並区教育ビジョン2012は夢に向かい、志を持って、自らの道を拓く人、関わりを大切にし、地域・社会・自然の共に生きる人、子どもの豊かな人間性を育てる、より高い質の学校づくりとして、

①良い教育課程がある ②良い経営が行われている ③良い教師・保育者がいる ④子どもを伸ばす学校・園 ⑤良い教育・保育が行われる

 

上記の要素が整うとさらに良い教育・保育が行われていくのです。センターが特に力を入れているカスタムメイドの対応は、語源の特別注文で作った品という意味ですから、学校・園からの特別要望を受けて、要望に応じた支援を行っています。学力向上の取り組みとして、センター調査研究所研究班によるオーダーメイド型学校支援による学力向上(エビデンスにも基づく学力向上)、夏季パワーアップ教室(補習)などを通して、杉並区全体のレベルアップを行っています。

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職員同士が見守り合える職場

2012年11月19日 月曜日

P1000211子ども主体・子ども中心の「見守る保育」を実践している保育園のオープン保育で訪問した、世田谷区の『用賀なのはな保育園』の前向きな取り組みを紹介します。

 

それは職員採用のためのパンフレットです。質の良いA4サイズ両面印刷にまとめられ、とても良くできています。

「ここには共に育ちあう仲間がいる!!」、「こんな仲間を待っています!!」、求める人材像として、①新しいことにチャレンジする人 ②一度の失敗にめげず、何度でも挑戦できる人 ③いろいろな角度から人や物をとらえることができる人 ④何事にも「ありがとう」の気持ちを忘れずに持ち続けることができる人、と明確に記されています。

 

保育のこだわりは、①子ども主体の保育をします。保育は大人が子どもに何かを教えたり、してあげることではなく、「子どもが考えてやってみたい気持ち」を満たせる環境を整えること。教えたい・やってあげたい気持ちをぐっと我慢して待ってあげたいですね。 ②私たちはチームです。保育も給食もみんなチーム。一人の力では成り立ちません。だから…思うこと、気づきはちゃんと表現し、お互いに話を聞き合いましょう。人との関係づくりで私たちは成長するのです。と明瞭に園の考え方が記されています。

 

さらに働いている職員が園の良さを次の述べています。 

○子ども主体の保育に一目惚れしてこの園を選びました。子ども達の笑顔にふれると疲れも一気に吹き飛びます(保育士2年目)。 ○リーダーとして、メンバー育成に関わっています。職務で悩んでいる職員が、自分自身の力で答えを見つけ、乗り越えていく姿を見たとき、涙が出てしまうくらい、自分のことのようにうれしいです。新しいことに常にチャレンジしようとする園の雰囲気が自慢!、こんなことがしたい!チャレンジしてみよう!というやる気を応援します。みんなで一緒に取り組んでいくのが、用賀なのはな流です。

 

このように職員同士が見守り合え、新しいことにチャレンジできる、やる気に満ち溢れた職員が居る職場は、子どもが自分をそのまま表現できる、「居心地の良い」園で、ピラミッド型制度の職場環境と比較してみると一目瞭然でしょう。

 

子ども主体・子ども中心のほいくを研鑽し合集いが全国各地で開催されています。関東地方の保育者を中心として、埼玉県で11月9~10日に開催されました。 

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共食(人と共に食す)は家族の源

2012年11月16日 金曜日

resize34874育子園のランチルームは120人が一堂に食事ができる賑やかな場所です。ここでは子どもと職員が一緒に食べて、話して、楽しんで過ごせる雰囲気があります。子どもも大人も自分で食べる量を選べる権利を保障されていることが居心地の良いと感じらるベースにあるのです。食べなければいけないとか、食べさせなければいけないという義務感は食事という本能的な活動からしても違和感があるのでしょう。空腹を感じたら、感じた人間が食べるという当たり前のことをしているのがランチルームです。

 

先日ランチルームで食事をしていて、箸を落としたので取り換えに配膳コーナーへ行こうとしたら、私の斜め後ろので食事をしていた年長男児が、サッと行動して代わりに箸を持ってきてくれました。そのさりげなさ、当たり前のようにできることに頭が下がりました。お礼を言うとニコッとして、また食べ始めました。家庭の食事が孤食とか個食と言われるようになって久しいのですが、改めて人は人と一緒に食事をすることが本能的であり、家族や仲間の関係性を築ける根底です。1982年に厚生省の調査で小学生の22%が「孤食」を経験していると報告され、さらに2005年には、小中学生の≒40%が孤食だという結果がでました。孤食もさることながら家族がそれぞれ違う食物を食べる個食も常態化しています。

 

家庭は対人関係を学ぶ根幹ですから、お互いの言い述べ合い折り合いをつけたりしながら、家族以外の社会で生きていく基礎を体験していくのです。その中でも大きな割合を占めるのが、共に食事をするという有史以来行われていた原始的な営みですが、それが短期間のうちに崩壊しつつあるというのが日本特有の状況です。家族そろって食事をする、食卓を囲むという楽しさと食に関する感謝を体感できる時間と空間は、「なには無くても楽しい我が家」、そのチャンスを逸しないようにしていきたいものです。

 

その人を理解するには共に過ごす時間をつくることです。人間関係をより良くしていくために、たとえば一日ゴルフ場でラウンドしながらクラブハウスで食事を一緒にする、マージャンをしながらそそくさと店や物を食するなど、コミュニケーション向上のために食事は欠かせません。職場においても、食事を共にしてお互いを理解し合うことは、最も効果的なことだと思います。

 

このような共食の底力を取り入れている職場では、従業員が自由に使えるアイランドキッチン、いつでも食材がストックされている冷蔵庫があって、昼食を自分たちで調理して食べるのです。何時間もの会議で導き出せなかった課題解決が、昼休みに食事をしながら話し合ったら嘘のように解決できることもあります。食べながら話をすることは創造的でお互いの力を引き出せる時間です、育子園でも仕事が終わって職員同士が連れ合って食事をしてコミュニケーションを深めているのは仲が良い証です。そこでは老若男女がお互いに尊重され、経験年数や立場に関係なく、共感し、学びあい、明日の活力を充電できるのです。

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