欧州で子ども主体の保育を学ぶ旅21
2012年10月18日 木曜日
レッジョ研修の続編です。
2006年にレッジョの実践を録画したビデオがあります。日本でも販売していると聞いていますが、園に2年間通っていた5歳児の子どもたちの10月26日の様子です。レッジョでは3年間同じ保育者が担当します。最初に保護者に言うことは、家庭でも起こり得る「怪我」は園でもあり得るんですということを伝えます。
ハサミで怪我をしたとしても、園の責任であると同時に保護者の責任でもあると考えています。
過去を見ることによって、新しい発見ができます。ビデオは大切なモノで、ビデオが無ければ、レッジョの保育を外部に見てもらうことはできません。子どもたちの造形作品は「子どもたちから園や学校へのプレゼント」というとらえ方です。ディアナプレスクールには78人の子どもたちがいます。担当者だけが子どもに接するのではなく皆で関わっています。
照明を薄暗くして子どもを興奮させないことを研究して空間設定を行っています。パソコンを子どもたちに使えるようにしています。たとえば子ども自身がデジカメで撮影した画像をディスプレイに写して加工することもあります。子どもにも自主責任があると考えていますから、保育者が全員の子どもを見切れているのではないのです。
楽観主義だと思われるでしょうが、「子どもと一緒に危険を学びたい」と考えています。保育者が子どもと子どもの家族を信じていると、保育者のことを信じてくれます。信頼関係を築くことが大切です。
今年5月に日本の保育園を訪問したとき、異年齢保育で大きい子どもが小さい子どもの面倒を見ていましたが、大きい子どもの責任が重いのでは、小さい子どもは依存心が強くなるのではないかと感じましたが、異年齢という方式も興味深いと思います。
保育者は子どもの導線観察に基づいた、備品配置などを考えることです。子どもは何もない空間だと走り回ります。アトリエに子どもが集中するので複数作りました。何も展示されていない壁は園の中には存在しません。子どもが何に出会うか、大人がするべき仕事はそれです。子どもは今日は何に出会いたいだろうというイマジネーションを大人が描けるかどうかです。
子どもと空間の関係という書籍がありますが、日本人の空間デザイナーとコラボしてた様子が載っています。子どもたちが家の中のままごとセットを全部出してしまう子どもたち、保育者は毎晩それを元に戻すのが仕事になりました。それを観察していた保育者たちが話し合って、家がいらないのではないかということになり、ピクニックバスケットにままごと用具を入れてみたら子どもたちはそれを持って出かけて遊ぶという展開になり、問題解決できたというエピソードがあります。(文責:園長)
お話を伺って、子どもの言動を観察して、ままごとセットをピクニックバスケットに入れてみようと発想し実践してみると、見事に子どもが望んでいる環境になったというエピソードは、大人の固定観念を捨てて考えてみる柔らかさを学べました。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ