欧州で子ども主体の保育を学ぶ旅⑳
2012年10月16日 火曜日
レッジョ研修の続編です。
日本でも購入できる子どもの一日を朝7時半から家庭に帰って就寝するまでを記録したビデオがあります。理論にこだわりすぎないことも実践上はとても大切なことです。レッジョチルドレンの哲学をビデオで確認、実証することにします。
仕組みを作ることの大切さ、哲学を実施するために仕組み作りは大事です。教育のプロジェクトはハードのほかにオーガナイズも含まれます。普通のイタリアの園ではオーガナイズする管理部門と、保育実践する現場がセパレートしています。レッジョは違います、管理部門、保育現場、保護者等の共同関係を構築してあります。
それが園を良くしていく上で重要なことです。共同関係を構築することで、双方向のコミュニケーションが高まっていくのです。大事なのは皆で同じ時間を過ごすことで、教師も保護者も育っていきます。対人関係を構築するには、一人の教師が全部行えません、小グループを担当することで可能になっていきます。
いわゆる大人主導の保育はしないことです。子どもは生まれた時から賢い存在、大人は子どもにチャンスを与える、ヒントを与える存在であるべきです。子どもたちが興味や疑問を感じている時こそ、大人が関わるチャンスです。大人が興味があるものを設定・準備するのではなく、子どもを観察してその中から必要なものを設定ることが重要です。
子どもたちにとって、素敵な時間を過ごせる空間設定には、多数の保育者が協力して作り上げていくことです。詩的、見た目は考え方と連動しています。そこで、アトリエが重要なのです。アトリエの中で考えていることが具現化されていくのです。賢いアトリエスタは、子どもの内面と保育者の内面も引き出せる存在です。
理論的に言えば、子どもは教養を身につける権利を持っています。当然、大人もその権利を持っています。コンセプトは理論を実施することが大切ですが、これは難しいことです。まず深呼吸をさせること、現実を現場で観察してそこから新しい理論が生まれてくることもあります。観察し分析し、さらに観察して分析するというスパイラルを作っていくことです。
これは永遠に続いていくべき作業です。(文責:園長)
ビデオに中心的役割で登場している講師さんから、直々にレッジョの保育・教育の実際を伺える、またとない貴重な時間です。講師さんはレッジョの理念と実践について語りたいことが沢山ありすぎる様子でした。参加者はさらに真剣に学ぶ姿勢で望んでいました。ビデオには懐かしい『黒猫のタンゴ』をギターでつま弾く保育者が登場しますが、40年以上前、日本で大ヒットした曲がイタリアで、それもレッジョで聞けるとは…。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ