欧州で子ども主体の保育を学ぶ旅⑱
2012年10月12日 金曜日
レッジョ研修の続編です。講師さんは、子どもの権利につて、権利の価値、美しい環境で便利な環境で、子どもたちに提供する保育環境は素敵な環境でなければなりません。それを有する権利が子どもにはあります、空間環境は表現力を養うためにとても重要です。
私たち大人も会議を行う場所に来てみて机配置等を観察してみると、この会議は講義形式なのか、ディスカッションスタイルなのか認識できます。話を一方的に聞くのか、自分も積極的に意見を述べられる会議なのか判断できるのです。子どもたちに提供する保育・教育環境も同じですから、その部屋で何ができるのか、ワクワクするような素材を提供することが保育者の仕事です。
アメリカ作家が書いた『ホールさん』という書籍には、「空間とは静かな表現法」だと書かれています。空間に価値を与えることが大切で、ガラス面に作品を張って床に映った影を子どもたちがどんなふうに感じるのか、観察してみるのです。影に沿ってガラス片を移動させながら置いた子どもを興味深く観察した記録も有ります。
話は保育者の業務時間のことに移りますが、保育者の就労は1週間36時間勤務です。その内30時間子どもと接し、6時間はプロとして保護者や地域住民と触れ合う時間に使うことになっています。そして毎週2時間は保育者同士が話し合います。その他の時間は保護者会などに充てます。
栄養士が調理を教えたり、ワークショップ、地域コンサート、ディアナスクールなど、各学校にはアトリエスタが居ますが、アートを教える人ではありません。1970年台にアトリエスタ制度が始まりましたが、教師とは違う視点を持っているアトリエスタの存在が大切なのです。
子どもと触れ合ったことのないアーティストとしての価値観・世界観が良いのです。アーティストの価値観と子どもの価値観はとても近いものだと感じています。保育者・教育者はアトリエスタの感性やモノの見方を学び取り込むことによって、子どもの視点を再確認でき保育・教育の繊細さを高められるのです。それは光線であったり建築素材などにも影響していきます。(文責:園長)
子どもは環境に働きかけて、学び発達していくという原理ですから、保育・教育現場の保育環境設定が全てということになります。人的環境も子どもに学ぶヒントを与えるために大切な存在で、特にレッジョでは各種アーティストから厳選されたアトリエスタを重要視しています。アーティストはそのコトが好きでたまらない人ですから、子どもが集中して遊んでいる姿に近いと考えてるのです。
とことんその道を探究したアーティストは子どもの気持ちや行動が理解しやすいのでしょう。その感性を保育者・教育者が感じ、学び、参考にしていくことが子ども主体の保育を広げていく大きなヒントになっているようです。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ