欧州で子ども主体の保育を学ぶ旅⑫
2012年10月03日 水曜日
今回のレッジョ・エミリア研修の参加者は保育園園長、保育士養成校教諭・保育園経営者、保育園で事務とアート担当者、幼稚園教諭、保育園副園長、幼児教育大学院生、保育施設の家具備品の企画・製造・販売の方などです。
参加目的は、レッジョの自発的な保育、子どもの人権、アトリエスタ(レッジョで芸術的感性を引き出す役割者)、働いている職員意識、音楽的感性教育実践、子どもが自発的に活動できる保育者の関わり方、アトリエスタと保育者との関係性、保育施設内の家具、備品等の良い環境づくり、など多角的な学びを得ようとはるばるイタリアまで意欲的にやってきたメンバー12人です。
今回のレッジョ・エミリア研修の会場であるレッジョチルドレン、『LORIS MALAGUZZI INTERNATIONAL SENTRE』は、レッジョの保育を開発、研究、実践提案、提供している組織です。園を直接・実際に運営し保育現場を持っている訳ではありません。
研修の冒頭、講師さんはレッジョ・エミリア市が施行している試みについてふれ、レッジョの保育は≒60年の歴史があります。その始まりは1946年大戦後にできた市民幼稚園からです。レッジョを理解してもらうために、レッジョ地域では地域文化と学校が深い関係を築いていることで成り立っていることを知っていただきたいと思います。1970年代に地域の夫人達が保育園を増やすよう市民運動を起こしました。
一般的な保護者は、園は子ども達に何を提供してくれるかを求めますが、レッジョは違います、これは重要なポイントですが、「レッジョでは子どもは地域のために何ができるのか」を求めています。
この理念の根本は、「子どもの将来のための保育・教育ではなく、今現在の子どもの存在を最も大切にする保育・教育」ということです。子どもたちの人生の価値、公共サービスの価値、子どもたちの権利、保護者の権利、保育者の権利を大事にしています。
それには健康であることが大切で、学校はシステムですが、ハーモニーもとても大切です。
皆と共存していく、お互いがお互いを大事にしていくことで全ては成り立っています。
子どもたちが学校から街に出て行って、様々な人々と出会います。たとえば靴屋さんとコラボして靴屋さんの宣伝用垂れ幕を子どもたちが作って街路に飾っています。(文責:園長)
日本の保育では子どもの時期は、大人へなるための準備期間と考えている保育者が多いようです。そのために、子どもに何かをして教える、してあげるのが保育の役割だと考えているようですが、レッジョのように子どもの基本的人権を第一に考え、大人と平等の権利と義務を有している人材としてとらえると、その子どもの発達過程応じた地域社会貢献をするべきだという発想を学ぶべき考え方だと思いました。
今現在を生きている子どもの存在を大切にすることは、今現在を生きている大人の存在も大切にするということ、大人も子どもも自分の存在を認められるのですから、主体的に自発的で創造的な取り組みができるのでしょう。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ