欧州で子ども主体の保育を学ぶ旅⑩
2012年10月01日 月曜日
何故、世界の保育界から北イタリア地方の町、レッジョ・エミリア(以下、レッジョ)の保育がこんなにまで注目されているのでしょうか。世界が注目するきっかけになったのは1991年ニューズウィーク誌で、『最も革新的な幼児教育』としてレッジョが取り上げたことが大きいようです。さらには、『子どもたちの100の言葉』という保育実践アプローチや作品展が世界各地で行われるようになったからです。
すぐに世界の保育、教育関係者やアート関係者がレッジョの保育理念と保育実践、独創的な子どもたちの造形、表現に高い関心を持つようになりました。それを可能にしているのは「大人主導ではない、子ども主体の保育」を提唱し、実践しているからだと現地を実際に訪問して実感しました。
今回は、『LORIS MALAGUZZI INTERNATIONAL SENTRE』を会場に、「Study Group from japan 」 研修会に参加しました。冠のLORIS MALAGUZZIとは、レッジョ保育自薦創始者の一人として著名な、ローリス・マラグッツィ先生のことです。ヂューイ、ヴィゴツキー、ペアジェなどの保育理念・実践を基礎にしてレッジョ保育の基礎作りを行った方です。
研修参加人数が多い場合は講義形式の研修室で行われますが、今回のように20人以下の場合はラウンドテーブル式で双方向コミュニケーションがとりやすい部屋が要されてありました。講師陣もレッジョを代表する先生方でコーディネータは国際部門の担当者です。この先生は日本でも購入できる保育実践記録ビデオにも登場している方で、事務・調整能力も優れた方です。
最初の講師さんは、教育学者で現在はレッジョの研究探求と様々な相談を担当しています。以前に幼稚園で働いていた経験があります。ローリス・マラグッツィ先生との出会いがあってこそ、今の自分があると賛じていらっしゃいました。今回の旅を企画立案し引率責任者の先生とは長いおつきあいだそうです。
とにかく、レッジョで実際に学びたいという世界の保育・教育関係者が数多くいますから、いわゆる入場制限があります。一般的には半年以上前からアプローチして受け入れが可能になるのですが、日本から長年にわたって参加者を連れてきた実績がある先生なので、かなり無理なことも通るようです。もちろんレッジョを動かす大本は、先生の人柄が最も評価されているように感じました。
参加者全員が自己紹介とレッジョで何を学びたいか等を語り、2日間の研修プログラムが始まりました。自己紹介も数十人単位の一方的講義形式研修ではできないこと、移動や人数把握も、園の見学も含め20人以下がベストだと思います。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ