欧州で子ども主体の保育を学ぶ旅③
2012年09月20日 木曜日
フィレンツェから電車で30分の町、アピスイアのラゴマゴ保育園を見学しました。
ピストイアのオルガンスクールと日本との関係が深く、天皇ご夫妻もピストイアを訪問されています。
ラゴマゴ保育園では、子ども主体・子ども中心の保育を行うためには家庭にも協力してもらうという考え方です。家族は第二の主役、家族もワークショップ、会議、パーティなどを家族と一緒に参加してもらっています。
保育室内装飾、壁にコミュニケーションの素材を反映しています。子ども達が何に興味を持っているか、壁を見れば保護者がわかるようになっています。イタリアは9月から新しい保育年度が始まります。今月入園してきた子どもたちも落ち着いて過ごしていました。20か月の子どもたちの6人程度の小グループは、様々な保育ゾーンで1週間づつ過ごす部屋をかえてます。担当保育者もその部屋の担当です。
造形ゾーンの部屋では、6月からバカンスの楽しみ方を家庭と連携して資料を集め、9月にアルバム等を持ち寄って思い出を語っています。子どもたちの言葉を大切にしています。言葉は子どもの気持ちの表れだからです。
園での生活期間は、子どもが社会に出る準備という考え方はありません。今が大切だという基本理念が確立していて、保育者はレッスンしません、子どもに質問すると子どもは一生けん命答えようとします。大人が手本を示して子どもは真似をします。子どもは大人や子ども同士との距離感を学んでいます。職員はあまり動き回りません。
子ども用の図書室は保護者も使います。ディスプレイ、配置は子ども達が行い、床に転がって読めたり、一人で皆で読んでいます。図書貸し出しカード、貸出袋を用意しています。図書救急箱もあります、本を大事にすることを学べ、子どもが自分で治すこともあります。子どもたちを信頼して機会を与えています。アートの本はとても重要だと考えています。
工作部屋、積木の部屋、ミラーボール、鏡、机の下から照明が当たっているテーブル、レッジョの光のアートと同じような備品です。様々な素材をOHPで壁に写し、光の魔法ゾーン、そのまま置いておけます。
楽器ゾーンには様々な楽器を置いています、自由に子ども自ら音を発見します。もちろんプロの調律済みです。
2歳児だけのために保育室が10程度のゾーンがも用意してあります。子ども一人あたりの面積は日本よりも広いと感じました。そして最も特徴的だったのは、2歳だからその発達に応じた玩具や備品を用意するという発想ではなく、興味を引くようなモノも用意しておいて、その中から子どもが発達に応じて、選んで遊ぶという考え方は日本ではあまりないものだと思います。
Posted in 前園長(11代)須田 益朗の実践ブログ